NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.259

 ハロー諸君! 連載11年目に突入中のこのコーナー、今年もまた50年前、45年前、40年前の古き良きロックを名盤を取り上げながら振り返るシリーズ「2017年ロック回想録」をスタートさせることにするぞ。 The-Kingの新作ローファー2タイプのあまりの眩しさに視界は良好、気分は絶好調。 今年の歩むべきロックンロール・ロードの安全と興奮が保証されたも同然なんで張り切っていってみたい!
 その第一弾は「50年前/1967年のロック」じゃ。 翌1968年にエルヴィスの「カムバック・スペシャル」を迎える前年に当たるのじゃが、ロックンロール・キングの劇的な生還を目前に控えて、この年はロック史上類を見ないほど驚くばかりにとてつもない新人ロッカーがたて続けにデビューした年じゃ。 ロックの歴史において1967年は、古くから「サマー・オブ・ラブ」「マジック・サマー」などと情緒的に呼ばれておるが、その実態はクレイジーでアンビリーバブルでミラクルなのじゃ! あまりにも優秀な新人が続出したので、既に実績を築いていた中堅どころのビッグバンドの名盤が霞んでしまうほどじゃ。 これはロックの女神のお導きというよりは、女神が突如とち狂ってしまった!としか言いようのない豊穣ぶりなのじゃ。

 わしはここ二、三年は積極的に新しいバンドを聞き続けておるが、あらためて1967年にデビューしたバンドや発表されたアルバムのリストを一望すると、少なくとも今年一年は「1967年のロックに集中したい!」と観賞方針の転換を図りたくなってしまう!
 現在わしの手元には、アナログディスクはおろか、CDやDVDはほとんどない。人生三度目の断捨離を行ったので、すべてデータ化してハードディスクに収録されておる。 だから古き良きアルバムも、ジャケットを手に取りながら感傷的に振り返ることができんが、1967年のロックにおいては個人の思い出なんぞは不要! サウンドそのものが50年が経過した現在においても歴史の中で雄々しく屹立しておるのじゃ。
 真剣なハナシ、どうしても1967年にタイムスリップしたいという激情を抑えることができない!(笑) 自分勝手な私感に過ぎないけれども、ロック史上に燦然と輝く1967年のアルバムを1枚でも多く諸君に聞いてもらいたいという願いを込めて(?)書かせて頂いたので、どうかご賞味あれ〜♪
◆写真◆デビュー直後のドアーズ(右上)とベルベット・アンダーグラウンド&ニコ(左)

2017年ロック回想録@
50年前/1967年のロック
二度と到来することのない、ロック史上最強の布陣が揃ったミラクル・イヤー!


1 永遠に燃え続ける蒼白き
スピリチュアル・ロックの焔
2 ドアーズというファインダーから見る無常の世界
ハートに火をつけて/ドアーズ   ■まぼろしの世界/ドアーズ■
 発表からもう半世紀か・・・本作の絶対的な価値付けとしてたったひとつだけ断言出来ることは、このデビューアルバムにして超名盤のフォロワー的作品(類似作品)がいまだに存在しないことじゃ。
 何故なんじゃろうか? それは恐らく、ヴォーカル兼詩人じゃったジム・モリソンの創作ビジョンが、エルヴィス、ジョン・レノン、ミック・ジャガーら数多くのロックヒーローたちとは全く別次元にあったからじゃろう。
 エルヴィスらが行き着こうとした、もしくは夢見た境地の更にその先、「全ての終わり」においてジムは人生を咆哮、呻吟、惨憺、睥睨、そして愛撫するように歌う。 それは死をもってしか大団円を迎えることの出来ない、決して救われることのない孤独の叫びじゃった。 しかしジムはファンを手招きすることはなく超然と佇み、更にその容姿はギリシャ神話のアポロンやディオニソスの様な威厳に満ち溢れておった。 全知全能かつ大衆に媚びへつらうことのない超クールなロック・ゴッドとして、ジム・モリスンはあっという間にシーンを凌駕した。

 更にレイ・マンザレク(Kb、B)、ロビー・クリーガー(G)、ジョン・デンズモア(Ds)の3人のバックメンバーが多彩な音楽的バックボーンの持ち主であり、ブルース、クラシック、フォーク、フラメンコ、ボサノバ、欧州のデカダンス・ポップス等のエッセンスを縦横無尽に披露しながら、絶望的なポジティブ・バイブレーションを激しく燃やし尽くすジム・モリソンの存在をいかようにもセットアップしてしまう驚異的なプレイヤーじゃった。
 ロック史上における空前絶後、前代未聞の存在であるドアーズは、本作の登場によってその全貌が明らかになったのじゃ。
     衝撃的なファーストより僅か半年後に発表されたドアーズのセカンド。 脅威の仕事量!と思われるが、実はこの2枚の収録曲はデビュー前にほぼ録音が完了しており、割とキャッチーな楽曲でまとめられたファーストの選から結果として漏れた楽曲がセカンドに回されておる。
 といってもファーストの没テイク集ではなくて、むしろ本作の方がドアーズというバンドの本質を伝える意味深長で神妙な楽曲が並んでおる。 また名プロデューサーのポール・ロスチャイルドの指揮による、ビートルズの『サージェント・ペパーズ〜』のコンセプト・アルバムなる斬新なアイディアに多少触発された構成が、本作のクオリティを格上げしておる。
 しかし当時の幾多のコンセプトアルバムがあくまでもコンサートを観賞するファンの視点や要求が強く意識されておったことに対して、本作はジム・モリスンという狂人一歩手前の悪魔的詩人の世界観を極限まで音楽で再現しようとする、あくまでもモリソン本位、バンド本位のコンセプトじゃ。

 ファーストのビッグセールスによってあっという間にシーンのトップに登り詰めたドアーズ。 本作で展開したそのバンド本位のコンセプトとは、人間として、表現者として、ロッカー(バンド)として決して逃れることのできない「世間からの疎外感」「孤独感」じゃ。
 生涯にわたり街から街へと流浪を続ける旅芸人、奇術楽団に自らの存在をなぞらえたドアーズの演奏は、この世の絶望や不条理と戦い続ける暗い情念と激しい憤怒に貫かれているのにもかかわらず、恐ろしいまでに美しく、ロマンチックじゃ。“本物のドアーズ・ファン”を自認する輩は本作を「ドアーズのベスト」と推挙する場合が実に多い!


3 罪深き才人たちの舞踊会   4 目覚めよと呼ぶ声あり
■ベルベット・アンダーグラウンド&ニコ■    ■青い影/プロコル・ハルム■
 ウエストコーストのドアーズに対して、イーストコーストからはベルベット・アンダーグラウンドがデビュー。 ニューヨーク・パンクの元祖、ガレージ・ロックの総本山、インモラル・ロックの最高峰。 彼らに付けられた永遠の称号の数々は、本作の圧倒的な輝きによって成されることとなったのじゃ。
 不協和音とエレクトリック・ノイズと超へたっぴな楽器演奏が交錯し、歌われるテーマもドラッグ、ゲイ、レズ、SMなどのバイオレンス・ストーリー。 アメリカという絶対的な資本主義国家そのものを否定するアンダーグラウンド・カルチャーの実態が本作に乱舞しており、アートなるもののあり方すらも根底から覆えしてしまったロック史上最狂の問題作じゃろう。

 プロデューサーは“バナナ・ジャケット”を製作したアンディー・ウォーホールじゃが、本作の中での音楽的貢献はほとんど無いじゃろう。 ウォーホールはベルベットの発見者、コンサート・マスターに過ぎず、主役はあくまでもリーダーのルー・リードじゃ。
 後に数々のソロアルバムにおいてエキセントリックなストーリーテラーとしての才能を発揮するルーじゃが、このシーン・デビュー作品においてそのセンスは既に“行っちゃって”おり、まさに「過剰を極めれば知の塔に至る」を地で行っておるが、それでいてクール! ルー・リードの自己抑制力の凄まじさが本作の異次元的なテンションの骨格じゃ。
 2曲でゲスト参加しておるニコ(ボーカル)の存在感がまた独特。 やばいパーティーの真っ只中にフラリと現れた謎の女的風情が全開であり、何処へ辿り着くかも知れぬ狂宴の精神浮揚を静かに、そして不気味に煽る巫女さんじゃ(笑)
     ロック史上最速、最大のシングルヒット曲といわれる「青い影」を収録したプロコル・ハルムのデビューアルバム。(発売当時のイギリス盤には「青い影」は未収録) 「青い影」はイギリスのBBCラジオ2が2009年に発表した「過去75年UKで最もプレイされた曲トップ10」では第1位に選ばれているほどの超名曲じゃ。
 この曲の今も色褪せない魅力とは、荘厳なバッハのオルガン組曲を想起させるあまりにも印象的なオルガンのイントロと間奏。 後のプログレバンドの出現を激しく誘発するような、修道院的閉塞性や修行僧的哲学性に彩られた一種禁欲的な美旋律が神々しい!

 アルバムの中では「青い影」だけが突出し過ぎており、それに匹敵する超名曲が他にはない。 ただし「青い影」の残響を振り払うと本作の真髄が聞こえてくる。 クラシカル・オルガンとブルース・ギターが交錯する喜怒哀楽感が明確な様々なタイプの楽曲群に、ロックンロールという若者の心を無条件に揺り動かす音楽が、プロコル・ハルムによって古典的文学作品や白黒映画の様なスピリチュアルなアートに変貌を遂げていく静かなダイナミズムを堪能できるじゃろう。
 しかしどの曲も歌詞の意味がさっぱり分からない(笑) 大体、「青い影」の原題「A Whiter Shade of Pale(白に近い色調)」からして何だか・・・。
 メロディーが明快な楽曲が多いだけに何度もトライしてしまうが、これもプロコル・ハルム・サウンドの個性、魔術ととらえれば、やはりアートじゃ。 そういえば当時オルガン主体のバンドサウンドを「アートロック」とか言っておったが、本当のアートはドアーズとプロコル・ハルムだけだったじゃろう。

5 一刻も早い発表が望まれた恐るべき才能
6 二度とないアゲイン
アー・ユー・エクスペリエンスト?
 /ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス■
 
  アゲイン
 /バッファロー・スプリング・フィールド■
 ジミ・ヘンドリックス存命中に発表されたスタジオアルバムは、基本的にはライブのプロモーション盤に過ぎない。 特にこのデビュー・アルバムは一般的な名スタジオ盤の基準にはまったくそぐわない。 マネージャー兼プロデューサーのチャス・チャンドラーが、一分一秒でも早くジミを世に知らしめるために、決して豊富ではない自分のスタジオ録音技能の中にジミの演奏を強引にはめ込みながら、各曲を見切り発車状態で仕上げてしまったようじゃ。
 いや、チャス以外でも、当時この不世出の鬼才ギタリストを適格にプロデュース出来る人物などいたはずもないか! すべからく精製されないまま世に送り出された楽曲群は、凄まじいライブ・テイクの基本フォーマットとして聞くべきであろう。

 俗に言われるほどサイケデリックでもなく、電光石火のバカテクが炸裂するわけでもなく、急造のバンドメンバーとのバトルがあるわけでもない。 しかしながら、ギター主体のジミのオリジナル・ブルースのスピリットは随所に煌めいておるのは確かじゃ。
 楽曲各々における非常に不安定で中途半端な完成度は、「凄い新人が現れた!」といった驚愕感よりも、「こいつは一体何者なのだ?」といった得体の知れない恐怖感を煽り立てておるとも言え、以降の史上空前の爆発的活躍を予見させてくれる、と言い切れるのはジミ・フリークだけじゃろうが、まあ一度聞いてみてほしい。 ワケワカラン異様な高揚感に包まれる、いや苛まれるはずじゃ!?
      当時のコンセプトアルバム・ブームを代表する1枚。 ロック、フォーク、カントリーのシンフォニックな融合と『サージェント〜』よりもナチュラルに進行しながら心地よいクライマックスを迎える構成は、アメリカン・ロック・バンドの歴史では異例中の異例じゃ。
 際立った突飛なテーマや大作志向への妙な気合もなく、ニール・ヤング、スティーヴン・スティルス、リッチー・フューレイという異なる3つの強烈な個性がアルバム全編にわたってスムーズに溶け合っておる。
 当時はまだ無名に近い彼らが、ソロ作品ではなくてバンドのコンセプトアルバムというコラボレーションの中で無二の個性を発揮しておることに、3人の特殊な自我、大きな未来を感じざるをえない!

 この3人のメンバーで計3枚のアルバムを発表しておるが、彼らが超個性派だっただけにトラブルが多かったことは有名。
 他の2枚は3人のソロ作品の寄せ集めに終わっておるものの、本作だけは賞賛に値する完成度に達しておる。ジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、ベルベット・アンダーグラウンド等、その存在感だけでブームを巻き起こすだけのモンスターの続出に触発された3人の結束力が魔法がかかったように強化されていったに違いない。 1967年という時代の風が作り上げたハイクオリティなのかもしれない。


7 美しき狂人の置き土産     8 アンダーグラウンドの美学
■夜明けの口笛吹き/ピンク・フロイド ■  ■フォーエバー・チェンジ/ラブ■
 後の巨大なスターバンドになったピンク・フロイドとは完全に別のバンドとしての姿がここにあり、シド・バレットという驚くべき狂人的ロッカーの作り上げたサイケデリック・ロックそのものを聞くことができる。
 大酒かっくらおうがドラッグをキメようが、とにかく誰も聞いたことのない新しいサウンドを創出すれば、それだけである程度のバンドとしての存在価値が認められた当時のロック・シーンにおいて、純粋培養的狂気の淵から音楽を奏でることが出来た者はこのシド・バレットだけじゃろう。 

 スタートはポップな楽曲が多いものの、逆立ちしながらやってんじゃないのか?と思わせる異様なテンションに突入していくのが本作の真骨頂!? リズム、メロディー、ハーモニー、アレンジ等、当たり前に進行する要素は無く、まともな神経の持ち主ならばシラフでは到底聞きこなせない世界じゃ。 サイケデリックと呼ぶことすら生易しく、いわば精神異常者の為の神経安定音楽じゃ。
 時折現れる暗雲の隙間から漏れる一筋の光のような牧歌的フレーズに触れると、空を飛んだり、動物と話をしたり、海を歩いて渡ったりする空想に焦がれた子供時代の精神状態を思い出す!? シド・バレットは童話の世界に登場する妖精が音楽家になったようでもあり、天空の音楽を地上の世界に届ける使者の様でもある。 実際シドの頭の中にはそんな音楽が鳴り響いておったのじゃろう。 既にシドは狂人の世界への道を一直線に歩んでおったが、その最後の道中で産み落とした不気味な美しさに彩られた希少な作品じゃ。
     60年代中期にロサンジェルス活躍したアングラ・バンド、ラブ。 美しいフォークや抑制の効いたガレージ・ロックを真摯に奏でるバンドであり、商業主義音楽に反抗する新進気鋭のアングラ・ファンに絶大な支持を得ておった。 ドアーズのジム・モリスンでさえ、デビュー直後に「ドアーズをラブの様な実力派バンドにしたい」と語っておったほどじゃ。 
 リーダーのアーサー・リーにメジャー志向がまるで無かった事や、バンドが悪質なドラッグにはまった等、何故このバンドがメジャー化しなかったかが、いまだにファンの間であれこれ言われておるそうじゃ。

 ラブはドアーズと同じエレクトラ・レーベルと契約しており、プロデューサーも同じポール・ロスチャイルド。 ドアーズの大成功に気を良くしたエレクトラが、このラブもあらためて本格的に売り出そうとしたのがこのサード・アルバムじゃ。
 メロディーの美しさと慎ましやかな演奏をメインとするラブの核はまったくブレておらず、控え目なストリングスと当意即妙なアレンジにより、R&B、ラテン音楽、ジャズといったバンドが本来携えておった多彩なルーツ・ミュージックが次々と浮彫りなっていき、とてもアングラ・バンドとは思えない味わい深い一級品のロック・アルバムに仕上がっておる。
 当時のロックバンド、フォークバンドには反体制的なトンガッタファクターが不可欠じゃったが、ラブはそんな姿勢は一切見せていない。 それでいて、本作は1967年のロックシーンを代表するクオリティ! 酸いも甘も乗り越えて達観したようなアーサー・リーの歌声が心に染みわたる!

9  カムバック前に図られた
 “崇高なる”画策
    10  裏サージェントならOK?!
■ゴールデン・ヒム/エルヴィス・プレスリー■  ■サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・
 クラブ・バンド/ビートルズ■
 60年代のなが〜い映画出演時代に終止符を打って68年に劇的な『カムバック・スペシャル』をやる前、エルヴィスがひっそりとゴスペルを歌った隠れたこの名盤があることは、今では見過ごされておるようじゃな。
 サントラしか歌えない状況に嫌気がさしていたとか、若手ロッカーの大挙に焦り始めていたとか等、当時のエルヴィスの心情は色々と憶測がなされておるが、本格的にカムバックする前のウォーミングアップとして、新しいプロデューサーに抜擢されたフェルトン・ジャーヴィスがゴスペル・アルバム(第二弾)のアイディアを持ってきたらしい。
 シンガー・エルヴィスの仕切り直しとして、ロックンロールよりもゴスペルの方が最適であるという決断がクレバー! それだけ最初のゴスペル・アルバム『心のふるさと』が素晴らしかった事もあるが、当時のロックシーンがキング・エルヴィスが50年代に創造したロックンロールの本懐からかけ離れた状況へと拡散していた事も関係しておるじゃろう。

 結果としてこのアルバムは、エルヴィス初のグラミー賞アルバムに輝くことになる。 「エルヴィス健在なり!」をロックファンを通り越して全米に知らしめたのじゃ。 『カムバック・スペシャル』の大成功への布石は、巧妙なアイディアによって打たれたってわけじゃ。
 エルヴィスの歌唱力の素晴らしさは今更言うに及ばず! 聞き惚れるたびに段々と少々喧しいバックコーラスも気にならなくなってくる(笑) あえてひと昔前を懐かしませるような、チープな録音状態の仕上げもグッドアイディア。 激動の時代を迎えたアメリカ、ロックシーンの喧噪を忘れさせてくれるジャケ写の程よい宗教感も静謐。

     エルヴィスと、そこから生まれ出たロックンロール・バンドに夢中になっておったわしは、ビートルズの本作における大きな変化とそれに伴うシーンのブームにはすぐには付いて行けなかった。
 というか全然オモシロクなくて、いまだに本作を初めとする当時のコンセプト・アルバムって好きじゃない。 ただし前作『リボルバー』で多少サイケデリック・トリップをやっていたビートルズが、ソイツに溺れることなく純粋に音楽的な昇華を目指したという点では大いに評価できるって、あんまり褒めてないな(笑)

 そんなアンチ・サージェント派のわしも、アルバムから切り離して収録曲を単独で検証すると素晴らしい楽曲が多いことが最近になってやっと分かるようになってきた(遅すぎ!〜笑)
 後々ブートレッグや『ビートルズ・アンソロジー2』に収録された本作楽曲のデモや未発表(未完成)テイクを聞いてびっくり! 最終テイクよりもロックンロールなビートルズによる演奏が残されており、すっかり「裏サージェント」のファンになってしまった。
 ジョン・レノンの独特のユーモアが顕著な曲のデモなんか聞いておると、ジョンは『サージェント』のアイディアにあんまりノル気じゃなかった事が分かる!? そんなジョンを説き伏せてみせた?ポール・マッカートニーの才能には恐れ入るが。
 要するに今まで我々が耳にしていた正規テイクはコッテコテに飾り付けがされ過ぎておったわけで、曲の原型を聞き取れていなかった自分の耳の愚かさを嘆いたわい! 自分たちのロックンロールを別の次元の楽曲に変換してみせたビートルズ、ジョージ・マーティンの恐るべき才能に遅ればせながら敬服致した次第。

 
 上記以外の優秀なデビューアルバムは、
『ミスター・ファンタジー/トラフィック』『ニュー・ディスカバリー/ローラ・ニーロ』『ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー・ファースト』『デヴィッド・ボウイ・ファースト』『ヴァニラ・ファッジ・ファースト』等。
 新人の勢いに価値が霞んでしまった名盤としては、
『ジョン・ウェーズリー・ハーディング/ボブ・ディラン』『セル・アウト/ザ・フー』『スマイリー・スマイル/ビーチ・ボーイズ』『スモール・フェイセス・セカンド』『シュールレアリスティック・ピロー/ジェファーソン・エアプレイン』等がある。 2回にわけてこれらも全て紹介したいところじゃが、それはいずれ気が向いたら!?

 1956年のエルヴィス・メジャー・デビュー、1962年のビートルズのデビュー、そしてこの1967年がミュージックシーンの第三期革命期であることをどうか忘れることなく、1枚でも多くの「1967年のロックアルバム」を聞きまくってほしい! 諸君のミュージック・ライフにおいても、必ずや大変革が起きるはずじゃ!

GO TO TOP