NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.256

 ハッピークリスマスまで二週間あまりとなったが、The-Kingが衝撃中の衝撃のジャケットを発表した。 ものすんげえ〜歴史的オーラに圧倒されるレジェンダリー・ジャケットなんで、その上からコートなどの防寒着を重ね着することもはばかられるわい。 う〜ん、しかし風邪をひいたら元も子もないんで、こりゃヒートテックでアンダーからあっためておくしかねえかな、いや懐炉も必要か、いやいや外出前に酒飲んどきゃいいか、とか思考がひっちゃかめっちゃかじゃ。 ひょっとして、このコーナーまで覗いてくれた諸君も同じような心境だったりして!?

 え〜落ち着きを取り戻すべく、第256回を冷静に始めさせていただきやす。 前回は20世紀末と21世紀との間で誕生したイギリスの3バンドをご紹介したが、今回はアメリカ組といってみよう。 わしは20世紀末のアメリカン・ロックシーンに吹き荒れたグランジロックってジャンルには今だに抵抗があって馴染めんのじゃが、これから紹介する3つのバンドは基本的にポップ・サイドに位置するロックをやっとる連中じゃ。 基本的にロカ嗜好の強い諸君にとって訳のわからんメロディーや眉を潜めたくなるようなダーティーでラウドな連中はおらんから安心して読んでくれたまえ。

 90年代以降のロックシーンは、どんなジャンルのロックでもやたらと「ハードコア○○」とか「ネオ○○」とか、ロックの過去の栄光なるサウンドの細分化、原型化を目論んだ連中が多発しておる。 細分化、原型化って方法論は別に悪かねーと思うが、ほとんどのバンドは「過去をブチ壊して喜んでおる」程度であり、だから短命というか、すぐに自分たちのやっとることに飽きてしまうって感じじゃ。
 「ハードコア○○」「ネオ○○」なんてのは“ていのいい”大義名分であり、「オマエラ、本当にソレがやりたかったんか?」「若気の至りにしちゃあ、止めんの早すぎるぜ」って言いたくなるぐらいあっさり信念らしきものを放り出してしまった連中が多い。 まあ、70年代末期のロンドン・パンクも似たようなもんじゃったがな。
 所詮、破壊は破壊に過ぎず。 そんなもんに夢中になるレベルのロッカーには、決して「再生」「新生」はできないのじゃ。 だから今だに「ハードコア○○」「ネオ○○」って冠を掲げた連中は信用ならねえ(笑)
 それならば、粋がることなく正々堂々とチャートで勝負できるポップ性をもったバンドの方が遥かに聞くに語るに値するってもんであり、そこをわしなりに少々追求した結果、この度のご紹介に至ったのじゃ。 何分、聞き込んでまだまだ日が浅いもんなので、前回同様に突っ込み不足、認識不足に関してどうかご容赦を。


欲ボケしたオールド・ロックスターはもうご免だ!
世紀末から新世紀に咲いたオルタナティブ・ロックを見直そう! Volume 2


★★★ キングス・オブ・レオン Kings Of Leon ★★★ 

 アメリカ・テネシー州ナッシュビル出身の3人兄弟とその従兄で結成されたアメリカン骨太ロックの王道を行くバンドじゃ。 21世紀にデビューした真のロック・バンドと言われる連中では、わしがその全貌をもっとも追求するに値すると思うておる。 現時点ではデビューアルバムからサードまでしか聞き込んでおらんので、ここで述べるのは初期の音楽性が中心になることをご了承頂きたい。 とにかく各アルバムの濃厚な出来栄えゆえに、なかなか別のアルバムの聞き込みに移行出来ないんじゃよ(笑)

 ネットに上げられた彼らのプロフィールを読むと、やたらと「サザン・ロック」にジャンル分けされておるけれど、1970年代にオールマン・ブラザーズ・バンドやレイナード・スキナードが確立したジャンルを「サザン・ロック」とするなら、このキングス・オブ・レオンはチト違う。 わしには「テキサス・ロック」に近いフィーリングを感じるのじゃ。
 というのも、彼らのサウンドの根底はガレージロックなんじゃ。 ガレージ・ロック・バンドの宝庫と言われるテキサス周辺のロックバンドが先天的に携えておるサウンドのスケール感をこのキング・オブ・レオンは自然と発しておるんじゃな。 しかもネイティブ・イングリッシュを操れる知人のロックファンに言わせると、彼らの歌の発音もテサス訛りが強いらしいぞ。(テキサス・イングリッシュって、標準英語のアメリカン・イングリッシュに比べるとセクシーに聞こえるらしい)
 わしも冒頭で使ったが、彼らのサウンドは「骨太ロック」「アメリカン・ロックの王道」「ブルースの泥臭さ、過激さの踏襲」といった表現をされる。 どれも間違ってはおらんけど、そんなサウンドを聴かせようとするバンドはテキサス周辺を探れば幾らでもおる。 キングス・オブ・レオン最大の特徴は、「アリーナ化したガレージ・ロック」じゃ! 

 ガレージロックとは、小さなライブハウスでプレイされるアマチュア・ロック。 演奏レベルは未熟じゃが、元気がよくて好きなタイプのロックを叩きつけるって感じ。 荒くれ者の多いテキサスのガレージロックならば、さしずめタチの悪い酔っ払い(わしのような!)やエクスタシーのみを求めるクソ悪ガキどもを叩きのめすだけの迫力のあるロックじゃな。
 まあこれだけならハードコア・パンクと変わりがないが、ガレージロックの多くは、ブルースなりオールド・ロックン・ロールなり、過去のバンドサウンドなり、自分たちのサウンドのベースが明白なことじゃろう。
 キングス・オブ・レオンのサウンド・ベースは、60年代のホワイトブルースとカントリーロックといったところじゃろう。 これを譜面上のテクニックや楽曲の構成美、またオーバープロデュースに頼ることなく、ガレージロックならではのダイナミズム、ユーモア、遊び心の追求をアルバム発表ごとに拡大、拡散させていっておる! これをわしは「アリーナ化したガレージ・ロック」と呼んでおる次第じゃ。 この手の方法論は、ロック史において未だかつて耳にしたことがないだけにサイコーに新鮮なのじゃ。

 テキサス・ロックの代表と言えば、まずZ.Z.トップ。 次にスティービー・レイ・ボーン。 更にジョニー・ウィンターか。 彼らはものすごいテクニシャンであり、更にテキサスの砂塵の中で生まれ落ちたような、サウンドに染み付いた土着臭がある。 恐らくキングス・オブ・レオンの連中も相応のテクニシャンであり、プライベート・ライブなんかでは土着臭プンプンのプレイをするんじゃろうけど、世に出たアルバムの楽曲においては、そのテクニックや土着臭が、ガレージロックの粗野でラウドで、ある時はコミカルなスタイルによって巨大化するという信じ難いような変貌を遂げておる。 分厚いわらじみたいなステーキとか樽ごと飲むようなビールも似合うが、途中でサラダやパスタも食べたくなるような!?そんなバランス感覚もプレイの中に秘められておることも人気の秘訣じゃろう。

 そしてわしが彼らに感じる最大の抗いがたい魅力とは、現代のロッカーの大半が失ってしまったサウンド全体を覆う旅芸人的な逞しさと儚さの巨大なオーラじゃ。 初期のエルヴィスやビートルズやストーンズらが放っていた、限りなきライブサーキットによって形成されていった強靭さと繊細さが同居したロッカーとして、男性としてのセクシャリティじゃ。
 彼らの父親は複音伝道師、つまり街から街への移動をしながら行く先々の教会で説教と音楽によるミサを取り仕切る牧師さんであり、彼らは幼少期から物心つく年頃までこの父親と一緒にロード・オブ・ザ・ライフ(旅続きの人生)を送っておったという。 教会での音楽をサポートするために幼い彼らは見よう見まねで楽器を習得していったという。 旅芸人としての血とフィーリングが自然と身に付いていったんじゃろうな。 現代のロックバンドとしてはキングス・オブ・レオンだけが持っているといってもいい本物のロッカースタイルが、まだわしが聞いてないアルバムの中でも息づいておることを期待しておる。

 驚くことに、彼らはアメリカ全土よりもイギリスで先に人気に火が付いたのじゃ。 この点に関しては「イギリスの聴衆も変わってきたんじゃな〜」と言うしかないが、「これがロックの王道だぜ!」「いぶし銀のロックとはこういうものだ!」とシャカリキになって古典的なロックンロール・プロフェッショナル道を突っ走るようなシリアスなサウンドの仕上げをスルーして、ガレージロックのアマチュアイズムを演出(?)してきた成果なのかもしれんな。
 諸君が聞いたらどう感じるか分からんけど、わしは彼らを聞いておると「カッコええなあ〜」とシビレル反面、ある時プッと吹き出しながら「おいおい、もちっとタイトにやってもええんじゃないかあ?」ってツッコミを入れたくなる一種のリラックス感も味わえる。 新しいロックのあり方を啓示したスゴイバンドかもしれん!


★★★ ヴェルヴェット・クラッシュ Velvet Clash ★★★

 何だか二流のヘヴィメタ・バンドみたいなバンド名じゃが、ヴェルヴェット・クラッシュは90年代末期から21世紀初頭に活躍したギターポップ・バンドじゃ。 古いジャンル分けをすると「パワーポップ」にも入るかもしれん。
 ズバリ言って、彼らは60年代のバーズ、溌剌としたトム・ペティ&ハートブレイカーズ、絶好調な時のジョージ・ハリスンといった極めてポジティブで明るいスピード感溢れるギターサウンドが信条というか、それのみじゃ! わしら世代のロックファンはその昔散々っぱら聞いてきたサウンドであり、目新しさの微塵もない。 しかし、だだっ広いアメリカの大地の上に広がる限りない青空に似合うようなギターポップって、随分と長い間聞いていなかったようでもあり、徹頭徹尾繰り広げられる彼らのポジティブ・パワーに只今少なからず圧倒されておるわい。

 なんでもメジャーデビューする前のインディーズ時代から、ポップなガレージバンドとしてアメリカ東部の大学生の間で絶大な人気を博していたらしい。 彼らはアメリカ東海岸はロードアイランド州からデビューしておる。 ロードアイランド州って、ニューヨークの北東の大西洋に面した地域に位置しており、こんなところからロックバンドがデビューしたって、あまり聞いたことがない。
 風土的にロックとは縁の薄い地域で活動していただけに、例えば西海岸のサイケとかL.A.メタルとか、東海岸のハードコアとかパンクとかの地域に根付いておるロック・スピリットや最新のカルチャーブームみたいなもんに一切振り回されることなく、純粋に自分たちの憧れたかつてのサウンドをコピーしまくっているうちにオリジナリティが確立されていったに違いない。 あまりにも混じりっけなしのピュアなギターポップバンドじゃよ。 雑念なしの竹を割ったようなギターポップ!と申し上げておこう。
 この手のバンドは最初は良くても、途中からマンネリ打破を目論んで余計な装飾を取り入れた挙句に失速ってパターンがほとんどじゃが、彼らは約10年の活動期間で人気も評価も下げることなく、ギターポップを貫いてしまったところがスゴイわい!

 結局ヴェルヴェット・クラッシュは、アメリカでは超メジャーな存在には成りきれなかったものの、活動期間に丁度イギリスのブリット・ポップ(古き良きギターポップの世紀末版)が流行しておったので、時代の風に乗ってイギリスでも人気を博しておった。 60年代のマージー・ビート、70年代のポップなグラムロック(例えばモット・ザ・フープルやスレイド)との共通点を見出す通のロックファンの心をも掴んだってことなんじゃろ。
 90年代〜新世紀といえば、わしはもう若者に戻ることの出来ない年齢に達しており(いつだったら戻れたんだよ!)、彼らのキラキラしたギターサウンドは郷愁を誘うというよりも最初は耳障りじゃったよ。 それにウイスキーではなくて、女の子同伴で飲むライト・ビールやチョイオシャレなカクテルが似合う感じが気に入らなかった(笑)
 ところが、アルバ厶は編集盤も含めて数枚発表されており、どれも良く言えば「期待を裏切らない」、悪く言えば「金太郎飴」(笑)であるだけに、そのうちに彼らがギターポップにかけた熱すぎる情熱にほだされてしまったってワケでした!
 現在のところのラストアルバムは2004年発表の『ステレオ・ブルース』。 さすがに「お兄ちゃんたち、少々大人になったね」ってちょっぴり成熟した出来になっておった。 その後は断続的に再結成をしてライブを活動を今でも続けておるようじゃ。 しばしライブ・サーキットを続けて、近いうちにまた以前と変わらぬ溌剌とした作品を発表してもらいたいもんじゃ。 それは加齢という人生の摂理に反するアクションかもしれんが、それが成立、実現しうるのが彼らのロックであり、ギターポップであると願っておる。


★★★ パニック・アット・ザ・ディスコ Panic At The Disco ★★★

 「オルタナティブ・ロック」には属するとは思えんが、是非とも紹介したいバンド、パニック・アット・ザ・ディスコじゃ。 つい先日、このバンドを推薦してくれた知人に「最近結構ハマってまっせ」って連絡したら、「へえ〜、これで七鉄さんもロック少年たちとお話出来ますよ」だって! なんでもアメリカのロック好きなティーンエイジャーたちに絶大な人気を誇っておるバンドらしいな。 結構イケメン揃いで、女の子たちにもピーピーキャーキャーされとるらしい、ってそんな事はどうでもええか。

 およそロックバンドらしくない名前のこのバンド、今年年初に発表されたというアルバム『ある独身男の死』を聞いた時は、わしは絶句、やがてこみ上げてくる得体の知れない笑いに我を失いかけた!
 全体像のイメージとしては、場面展開の素早い楽曲が次々と登場するミュージカルみたいな構成であり、驚いたのは各楽曲には繋ぎという要素はほとんどなく、“様々なタイプのポップス”の波状攻撃でリスナーの度肝を抜き続けるってトコじゃ。
 古い言い方をすればプログレにありがちなコンセプトアルバムなんじゃろうが、ストーリー展開にほとんど起伏がなくて、各楽曲が独立した魅力を放ちながらもアルバム1枚として統一感、整合感が保たれておるのじゃ! しかもメッチャポップなのである。 異様に高いテンションの楽曲が多いだけに「パンク・ポップ」って言いたくもなる!
 よくディスコのメドレーアルバムってあるじゃろう。 ヒット曲の一部分をディスコ音楽調にアレンジして繋ぎ合わせて延々と聴かせるヤツじゃ。 アレよりも各楽曲がしっかりとポップスでありロックでありピコピコ電子音楽であり、更に時にはクラシックでありボサノバでありカンツォーネであるって想像してほしい。 しかも短時間で一曲として完成されていてフェイドインやフェイドアウトもほとんどなくて曲間はセットされておる。 それでいてあっという間にアルバム1枚を聴かせてしまうのじゃ。
 そうじゃな、聞き込む内に、色とりどりの包装紙にくるまれたキャンディーや色んな形をしたクッキーなんかが揃ったお菓子セットを楽しんでいくような健全なハッピー感もあり、こりゃ〜女の子たちに人気が出るわな〜って思っちゃったわい!

 慌てて過去のアルバムをネットで聴きあさってみたんじゃが、2005年のファーストアルバムを含めて他には4枚が発表されており、アルバム構成はどれも同じ。 つまり全てのアルバムが最新アルバムと同じ超濃密な構成、異常なハイテンションなハイブリット・アルバムなのじゃ。 活動10年あまりで世界中のポップミュージックを切り貼りしながら何種類もの奇想天外なストーリーを完成させ続けておったんじゃな。
 このパニック・アット・ザ・ディスコに対するネット投稿がまたおもしろい! 投稿者によって好きなアルバムがてんでんバラバラであり、1枚のアルバムの贔屓のされ方もまた様々なんじゃな。 アルバム発表ごとに激しい賛否両論を巻き起こしながら突っ走ってきたってことであり、これはポップス史上、ロック史上における類まれな軌跡と言えるかもしれん。 
ロックの歴史もゆうに半世紀を超えたんで、過去の様々なジャンルのハイブリット・ロックが出てきても不思議ではないが、ここまで多岐に渡って継続してやられてしまうと、ぐうの音も出ない感じじゃな(笑) いやはや凄まじいアルバムばかりじゃよ。
 最新アルバムを聞く前に「アメリカのティーンエイジャーに大人気」と聞かされておったので、こんな複雑怪奇な音楽をアメリカのガキどもは聞いておるのか!ってそれもまた衝撃じゃったよ。 一応彼らは「エモ」というロック・ジャンルにカテゴライズされておるらしい。 「エモ」ってのは、「エモーショナル」の略であり、激しい心情を躊躇なく叩きつけるエモーショナルでハードコアなロックのジャンルなんだそうじゃ。

 彼らの略歴をチェックしていて、ひとつ意外な点があった。 本国アメリカにおいてアルバムはビッグセールスを続けておるのに、大ヒット・シングルが1曲(「アイ・ライト・シンズ・ノット・トラジェディーズ」)しかないのじゃ。 この曲のPVは『MTV Video Music Awards』において、ベテラン勢のマドンナ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどがノミネートされる中で“Video Of The Year”を受賞しとるが、基本的にはアルバム全体のダイナミズムでシーンの頂点に上り詰め、その地位を現在でも維持しておるのじゃ。
 ライヴでは1920年代調のクラシカルな衣装を着て、本物のサーカス団を交えたパフォーマンスを行ったり、その他様々なエンターテインメント性に満ちた仕掛けを催しておるらしい。 しかもなかなかのイケメン揃い。 アイドル性、パフォーマー性、アーティスト性を兼ね備えたどデカイスケールをもった連中であることは間違いなかろう。

 残念ながら最新アルバムでは正式メンバーはヴォーカルのブレンドン・ユーリー一人になってしまったそうじゃが、バンドから脱退したメンバーが結成したバンド、ザ・ヤング・ヴェインズのアルバム『テイク・ア・バケーション』も、実は現在わしのオキニの1枚なのじゃ。 ビーチボーイズらの60年代アメリカン・ポップスを追求したかなりノスタルジックな作品じゃが、上記のヴェルベット・クラッシュ同様に、単なる懐古主義で終わらず新しいブームに派生するだけのエネルギーに満ち溢れた好演じゃ。


 「ったく、鬼籍入りにカウントダウンが始まったロック・ジジイが、新しめのロックに何をそんなに熱くなってんだよ!」って笑れて結構! 大いに笑ってくれ〜い。 このところ、云十年前から繰り返しておるロックの予定調和ってのに飽き飽きしとるんでな。
 と言いつつも、前回の3バンドも含めて割とクラシカルなサウンドスタイルがベースになったバンドが多いけどな(笑) でも、どれもマイナー、インディーズ・レベルではなくて、しかも短命でもなくてメインストリームに登場したバンドばかりなんで、充分に新世紀的なロックじゃぞ。 新世紀的ってのが語弊あるならば、せめて「温故知新的バンド」と言わせてもらおう。 ちなみに「新世紀的ロック」のトリを務めてもらうべきバンドもまだ複数控えておるんで、ソイツは次回の今年最後か、新年早々にでもご紹介させて頂く予定じゃ。

 オルタナティブ・ロックという言葉が生まれた20世紀末って、あらためて計算するとエルヴィスのメジャーデビューから約40年、エルヴィス死後からも約20年も経過しとるんじゃな。 更にそこから現代まで約20年じゃ。 合計約60年のロックの歴史の中で、三分の二ほどの経過地点でのロックを新しいと言っとる事自体が笑われるのかもしれん。
 でもロック嗜好の時計の針をいつまでも古き良き時代で留めておく頑固なコダワリも尊いけれど、少しだけでも針を先に進めてみる努力も悪かない(笑) 自分よりも遥かに年齢が下のロッカーのアクションを知ることによって自分の嗜好性を対象化出来たり、時には愛すべき過去を別の角度から見つめ直すこともできたりするもんじゃよ。
 おっと、これは「頑固七鉄」のイメージ・キャラに反するな! でも今はそれがわしは楽しくてしょうがないんじゃ。 連載10年を越えてから、七鉄も小さな前進を始めたってことで、許してつか〜さいっ! まっ、所詮気まぐれな七鉄なんで、いつ元に戻るかわからんけどな(笑)
 その昔、「布団と畳は新しい方がいい」なんてジョークがあったが(笑)、ロックも「たまには新しいもんを聞いてみるべし」じゃ。 第255回、256回、そしてもう1回のわしのコラムが、その一助になることを願っておりまする!



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