NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.251

 The-King開放デーの話題ですっかり影が薄くなってしもうたが(笑)、前回でこのコーナーも節目の連載250回目に達しておるぞ。 さあて新たに気合を入れ直さにゃいかんところであるが、古いロックフレンドから格好のきっかけを頂いたゾ。
 まず250回記念自作自演インタビューの中の“わしが指が短くて楽器も野球の投球も上達が遅かった”っつうクダリについて「オマエ、そんなに指が短かったっけ?」って大笑いされた後、「昔っからブルースが好きだったんだろう? だったらハープ(ハーモニカ)やりゃよかったんじゃねーのか」とキタ! 今更ながら「その手があったか!」とおおいに納得。 彼は更に「ジジイになってもハープならカッコいいぜ。 今からでもやれよ!」と励ましの言葉までくれよった。 心優しい旧友からの激励なんで、「何言ってんだよ。タバコの吸い過ぎで息が続かないぜ。それに喉に痰がからまって音なんか出せねーよ!」って水を差さんようにな(笑) 

 う〜ん、ハープ・プレイのレッスンをやるかやらないかはこれから前向きに検討するとして、まずは何事もお勉強が大事なんで、毎晩ハープ主体のロックばっかり聞いておるんじゃ。 久しぶりに燃え上がりつつあるこのポジティブな炎を消したくないんで(笑)、諸君にはわしのオススメのハープ・ナンバーをセレクトしてお届けすることにした。
 しかし漫然とセレクトしたらブルースやカントリーばっかりになっちまうんので、出来るだけロック的なヤツにする! 前々回に「ドラム・イントロ特集」をやった際、そぉ〜と「Rock Go back to the Wild〜Vol.1」ってサブタイトルを付けてシリーズ化を予告しておいたので、今回はその第二弾じゃ。 ロック・ナンバーの中に優れたハーププレイが入るとそのナンバーは一気に原初的なワイルドさをまとって迫力が倍増するもんじゃ。 ロックが原点に還る(Go to the Wild)にゃ、ハープの登場は格好じゃ!
 中には、新作ナッソーをビシッと羽織り、ロッカーとしての正装をキメて聴きたくなるような名曲もあるぞ!酒の用意はお好みで各々方それぞれに任せるとして(笑)、生粋のロッカーであることを自覚の上、しかとチェックしてくれたまえ。


Rock , Go back to the wild ! Vol.2  〜 ロック・ハープ名演集
ブルース、ロックの原点はハープにあり!


♪tune-1 オレンジ・ブロッサム・スペシャル/ジョニー・キャッシュ

 1938年に書かれたというブルーグラスの古典であり、数多くのミュージシャンがプレイしてきたが、ロック・ファンならジョニー御大のこのテイクじゃろう。 1968年の歴史的なサンクエンティン刑務所でのライブであり、御大は二本のハープを交互に吹き回しながら、スタジオテイクをかなりアップテンポにアレンジしておる! 断然このライブ・テイクの方がクールじゃ。 二本のハープは恐らく同タイプであり、御大はサウンド効果ではなくてパフォーマンスとして二本を使用しておると思われる。 リード楽器としてハープの魅力が堪能出来る代表曲じゃろう。
 なおタイトルは1970年代まで実在しておったアメリカの超豪華鉄道の重量車両のネーム。 俗説ながらその汽笛が独特であり、刑務所の中で服役者が聞くと「希望の音」に聞こえたそうな。 だからこそ御大はこの曲をプレイしたという。

♪tune-2 パワー・オブ・マイ・ラブ(わが愛の力)/エルヴィス・プレスリー

 エルヴィス・ナンバーの中では未曾有のハープ・プレイが聴けるナンバーじゃろう。 でもエルヴィス60年代末期の絶好調なヴォーカルが登場すると途端に魅力が半減してしまう(笑)。 ハープのみならず、曲の進行につれて登場するホーン、女性コーラス、オーケストレーションがエルヴィスのヴォーカルにことごとく撃退されていくように聞こえるなあ(笑) パワー・オブ・マイ・ラブじゃなくて、まさにパワー・オブ・エルヴィス!ハープ君エド・コリスは最後は悲鳴に似た音色でもってエルヴィスに捨て身の抵抗しておる!
 『フロム・エルヴィス・イン・メンフィス』収録曲であり、プロデュースを担当したチップス・モーマンは今年6月にこの世を去ったばかり。 わし個人的にはこの曲の仕上げがモーマン生涯最高のお仕事じゃと思うとる。 遅ればせながら彼のご冥福を祈りたい。
 なお、この曲のパンク的アレンジが21世紀ロッカーのジャック・ホワイトによって発表されておるので試しに聞いてみてほしい。 結構イケマッセ!(笑)


♪tune-3 ノット・フェイド・アウェイ/ローリング・ストーンズ

 ご存知バディ・ホリー先生の名曲じゃけど、1964年にローリング・ストーンズが本家のお株を奪うがごとく素晴らしいアレンジでカヴァーしとる。 とにかくブライアン・ジョーンズのハープが凄まじい! カントリータッチのこの曲に奇想天外なブルース・フィーリングをぶち込むことに大成功しとるんじゃ! 当時バディ先生が生きておられたら(なんで敬語なんじゃ!)、恐らくブライアンのセンスに拍手を送ったに違いない(と、わしは思うとる)
 日本公演を含む1995年のストーンズのツアー・ライブはこの曲がオープニング・ナンバーじゃったけど、残念ながらハープ・パートはラスト前だけに留められておった。 ミック・ジャガーもハープの名人なので、ブライアン並みのプレイを全編で聴かせてほしかったなあ。


♪tune-4 パラシュート・ウーマン/ローリング・ストーンズ
 

 ミック・ジャガーのハープ名演をひとつ。 恐らくブライアンからブルース・ハープのコツを伝授されたであろうミックじゃが、この曲の収録作『ベガーズ・バンケット』(1968年発表)の頃には、ハープを完全にマスターしており、既にヤク中で役に立たなくなっていたブライアンに代わって見事なプレイを披露! ギターを差し置いてリード楽器としてのハープ・プレイを完全に己の術としてマスターしとる!
 なおこの曲の数少ないライブ演奏の映像は『ロックン・ロール・サーカス』で観ることができるが、さすがのミックも、ハープの先生であるブライアンの前では吹きまくりを遠慮しており、先述した「ノット・フェイド・アウェイ」同様にラストパートのみに留めておる。


♪tune-5 ストップ・ブレイキング・ダウン/ローリング・ストーンズ

 オリジナルは伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソン。 自らに言い聞かせるようにプレイされたロバートのテイクを壮大なスケールでリメイクしたストーンズのセンスに脱帽。 この奇跡的なカヴァー最大の功労は、ミック・テイラーの流麗なギタープレイ、そしてミック・ジャガーのコミカルで開放されっぱなしなテンションのハープじゃ! ねっとり沈み込むようなプレイが基本であるブルースに、ロックの突き抜けた開放感をねじ込んでみせようとする両ミックのプレイは、アナログ2枚組じゃった名盤『メインストリートのならず者』のハイライトじゃ!


♪tune-6 悲しき鉄道員〜ショッキング・ブルー

 ちょっと箸休めにポップスを1曲。 昔っから「変な邦題じゃのお」って思っておったが、原題Never marry a railway manを直訳すると「鉄道員とは結婚するんじゃないぞ」となってやっぱり変!ってどーでもいいか。
 LPテイクのピッチを上げてシングル・テイクにしたってのはファンの間では有名じゃったが、やっぱりLPテイクの方がわしはええ。 映像では1分40秒あたりからハープが登場しており、プレイのクオリティ自体は効果音以上の魅力はないものの、このバンドが各曲にそこはかとなく漂わせる哀愁感を短時間でビシッと集約させる効果を担っており、ファンには忘れがたきパートのようじゃ。


♪tune-7 ロードハウス・ブルース/ドアーズ

 オリジナリティ極まるドアーズの楽曲群の中で、唯一で最強のゴリゴリなブルースナンバー。 サイケデリック・トリップから帰還したジム・モリスンのド迫力のヴォーカルや、ロビー・クリーガーの野太いギター・リフがメッチャキマッテおるけれど、全編で唸りまくるブルース・ハープが素晴らしい。 プレイしとるのは60年代の代表的フォーク・シンガーでハープの名手でもあったジョン・セバスチャン。 ちょっと場違いなキャスティングのようじゃが、セバスチャンのセンスを見込んでおったドアーズ側のグッド・セレクションじゃ!
 ジムは自分でハープを吹きたかったらしいが、知らぬ間にレコーディングに招待されておったセバスチャンのプレイを聞いて「こりゃ適わん・・・」って観念したらしい(笑)
 でもセバスチャンのプレイはクールじゃけど、ブルース・ロックのハープとしては何かが物足りない。白人だから仕方ねえのかもしれんが、原因は別にあるとわしは睨んでおる。 ドアーズは悪名高き反社会的バンドの代表だったんで、セバスチャンは「レコードに本名をクレジットしないでくれ」と頼んだらしい。このロックスピリットの欠如がプレイの甘さに反映されておるんじゃねーのか!


♪tune-8 ミステリー・トレイン/ザ・バンド

 白人のブルース・ハープなら、何はさておきポール・バターフィールドじゃ。 1965年に自らの名を冠するバンドでデビュー以来、数多くのハープの名演を残しておるが、その白眉はザ・バンドの解散コンサート「ラストワルツ」でのこの客演じゃろうな。 「“ミステリー・トレイン”はエルヴィスじゃねーとダメだ!」っつう頑固な輩もどうか聞いてほしい。 大型車両の車輪と汽笛の音色を、小さなハープ1本でダイナミック&ロマンティックに表現してみせようとするバターフィールドはまさに命懸け! 質実剛健な黒人ハーピストのプレイでは聞くことのできないであろう、白人の名手ならではの複合技の極致じゃ。 バターフィールドもまたエルヴィスを敬愛しており、エルヴィスのヴォーカルに敵わないコンプレックスをハープに託したといえるであろう超熱演じゃ!


♪tune-9 ストゥープ・ダウン#39/J.ガイルズ・バンド

 ポール・バターフィールドに続く白人ブルース・ハーピストは、J.ガイルズ・バンドのマジック・ディック! グラサンかけた佐藤蛾次郎か丹古母鬼馬二みたいな(笑)コミカルな存在感だけど、圧倒的過ぎるそのプレイに、「この人、ハープ演る以外は一人じゃ何も出来ないヤロウなんじゃねーか!?」って想像してしまうほどの超絶的なハッピー・ハープをかましてくれる!
 このバンド、今にして思えば楽曲からセンスに至るまで全てがホンキートンクでスタンダードなB級であり、時折“超B級”をかまして飯を食うことができたって感じじゃったが(失礼!)、唯一のA級要素がマジック・ディックのハープじゃった!


♪tune-10 ザ・リバー/ブルース・スプリングスティーン

 イントロにハープの独奏を起用した代表的なロック・ナンバー。 名も無き労働者階級の若いカップルの寂しき青春を物語風に歌ったスプリングスティーンならではの“超リアリズム・ブルース”じゃが、むせび泣くハープ・イントロが曲の全てを語り尽くしておると言えるじゃろうな。
 デビュー以来アルバム4枚において、この世の不幸、不条理をロマンチックに歌ってきたスプリングスティーンが、「やっぱり不幸、不条理はいかん! みんな幸せになるべきじゃ!!」と方向転換宣言をする前の「だって、俺たちこんなに恵まれていないんだ!」って目いっぱい演ったナンバーなんじゃ。 自身の重大な分岐点を飾るために熱演したハープでもある。


♪tune-11 ジーン・ジニー/デヴィッド・ボウイ


 ハープの激演、熱演、好演が続いたので、ちょっとテンションを下げてみようか。 この曲におけるハープは、いわば“唇でこする”“舌で舐める”程度の“軽演”じゃが、アルバム『アラジン・セイン』のクライマックスへと突っ走るギター、ベース、ドラムの狂気的なテンションを静かに煽り続ける粋な演出を果たしておる。 ハープ・プレイのみに聞き耳たてながら「おお〜こすっとる、こすっとる!」ってコーフンするのはアホみたいじゃけど、脇役としてのハープの魅力を堪能出来る捨て難いナンバーじゃよ。


♪tune-12 ピアノ・マン/ビリー・ジョエル

 「“ピアノ・マン”なのに、どうしてハープを吹くんだあ?」ってドーデモイイ事に疑問を抱いた!?のが懐かしい〜(笑) 天性のメロディーメイカーとしての資質だけを武器に這い上がってきたビリー・ジョエルの自叙伝ナンバーであり、あんまり上手いとは思えないハープは要らないようにも感じる。
 しかし一度ブレイクしたらあっという間に煌びやかな世界へと招き入れられたビリーが、“家具のツヤ出し液を飲んで自殺を図った”ような辛い下積み時代の残像を含ませておきたかったのでは?と思えば、少々チープでコミカルなハープも味わいをもって聞くことが出来る。


♪tune-13 ロング・トレイン/ドゥービー・ブラザース

 70年代中期、わしみたいな男臭い(酒臭い?)男性ロックファンなんかてんで相手にしなかったイケテル・ロックレディたちに絶大な人気じゃったドゥービーのナンバー(笑) 「これぞウエスト・コースト!」ってなイントロの軽快なギターカッティングから始まって、およそハープの出番なんて思いもよらない展開なのに、1分20秒過ぎから極めてナチュラルにハープが登場するその意外性に恐れ入る!
 「コイツラ、ハープまでオシャレにキメやがって!」って怒り狂ったってのはジョーダンじゃけど、ロックもブルースも忘れて、ハープの音色の行き先をいつまでも見届けていたい気分になるのお〜(笑) ハープのみならず、この曲で聴ける実態の無い各楽器の結集性がドゥービー最大の魅力、なんて言えるようになったのはつい最近!? 片意地張らずにロック的音楽を聞きたい時にフィットするナンバーじゃ。


♪tune-14 シェイプ・オブ・マイ・ハート/スティング

  オシャレなハープ・ナンバーをもう1曲。 前曲とは対象的にグッとマイナー調に迫ったナンバーじゃが、「ハープってこんな上品な楽器だったか?」って軽い衝撃を受けたもんじゃ。 何だか“夕焼け番長哀愁のハーモニカ”が昇華したような響きがあるの〜(笑) この曲の発表は確か80年代中期であり、MTV効果でロックが俄然垢抜けした時代じゃ。
 労働者階級のシンボルじゃったロックが、ワンレン/ボディコン・レデイにも聞いてもらえる音楽になったんじゃけど、今にして思えばスティングは、労働者階級のガキにもオシャレなオネーサンにも聞いてもらえるマルチな憂いを醸す異才じゃった。 ハープをモダンな楽器として聞かせながら、ブルース・フィーリングとヨーロッパ・デカダンの融合を成功させた名曲じゃ。


♪tune-15 オー・アトランタ/バッド・カンパニー


 ノッケから南部のカントリーロック・フレイバー全開のハープが炸裂するゴキゲンなロックンロール! アルバムのクレジットを隅から隅までチェックしたが、ゲスト・ハーピストの名前が無かったので、恐らくボーカルのポール・ロジャースが吹いておるんじゃろう。 ブリティッシュ・ロッカーのポールが、こんなライトアップなアメリカン・センスを持っていたことに驚いたもんじゃ。
 ギタリストのミック・ラルフスも、中間部のソロでハープと一体化したような音色をキメまくっており、まるでアメリカンバンドみたいなプレイじゃ。 曲調はベッタベタなカントリーロックなんで、もしシングルカットされたらヒット・チャート・インしたんじゃないか? イギリス勢不振が長らく嘆かれた70年代中期のアメリカンチャートにおいて、なぜこのバンドだけが突出した活躍が出来たのかってことをあらためて納得させられるナンバーじゃ。


♪tune-16 ミドル・オブ・ザ・ロード/プリテンダース

 
ここで女性ロッカーのハープを一曲! といっても映像を観ておると、ヴォーカル&ギターのクリッシー・ハインド嬢のカッコよさに見とれてしまってハープなんて忘れてしまいそうじゃけど、肝心のハープ・プレイはコーダで登場!(3分20秒あたりから)ブルースやカントリーのエッセンスを感じないドライなハープソロじゃが、そのまま涼やかにエンディングを迎える展開はクールじゃな。
 パンク〜ニューウェイブ〜エレクトロニック・ポップ〜ニューロマンティクスなど目まぐるしく変貌を続けた80年代のブリティッシュ・ロック・シーンを、モダン・ロックンロールイズムでスマートに生き抜いてみせたクリッシー&プリテンダースには相応しいハープの扱い方でもある。


♪tune-17 ディザイア/U2

 エンディング・ハープのカッコよさなら、この曲も外せないじゃろう。 ♪〜ジャガジャガジャ〜ン〜♪のギターイントロといい、「ィヤア〜」の色っぽい歌い出しといい、U2がR&Bをベースにして露骨にアメリカンマーケットを意識しとるようで、最初はどうも気に入らん曲じゃったけど、ラスト約30秒のハープはまさにキメ! 彼らの懐の深いセンスに軽い衝撃を受けたわな。 
 そのラスト30秒のPVは、U2のメンバーがアメリカのゲットーやダウンタウンを徘徊するシーンであり、黒人マーケットまで突っつこうとしているようじゃ!この恐れを知らないU2の音楽へのチャレンジ・スピリットこそ、今日の彼らの巨大なステイタスの原動力なんじゃろう。


♪tune-18 デッド・ジェイル・オア・ロックンロール/マイケル・モンロー

 散々ブルースだ、カントリーだ、オールド・ロックンロールだと、ベースミュージックの重要性を強調しとるわしの口から「マイケル・モンロー」なんて名前が飛び出すとズッコケてしまうかい?(笑)
 80年代のヴィジュアル系ロックスターの典型じゃったモンロー。 色んな不幸も重なって知名度が遂に大ブレイクせずにB級で留まってしまったが、実力派ロッカーであることは間違いない。 ハープの腕前も80年代デビューのロッカーの中ではピカイチであり、そしてメタラーではなくてロックンローラーであったことは、この曲を聴けばよぉ〜く分かるってもんじゃ。
 「死か監獄かロックンロールしかオレにはねえ!」って歌じゃけど、聴いてる方が小っ恥ずかしくなるような古臭いフレーズが似合うロッカーは80年代以降ではマイケル・モンローが最右翼じゃろう。


♪tune-19 デスペラード・タイム/ゴドレイ&クレーム

 そろそろ今回もエンディングが近づいてきたようなので、心に染み渡るような壮大な曲をご紹介しておこう。 ゴドレイ&クレームとは、70年代中期まで活躍したイギリスのパワーポップ・バンドである10CCの二人のメンバーであり、10CC解散後はデュオ・バンドで活動を継続。 80年代にはプロモーション・ビデオ制作でその名を馳せるなどの奇才ぶりを発揮。
 ミュージシャンとして現在のところラストワークはこの曲を含むアルバム『グッドバイ・ブルー・スカイ』(1990年発表)。 エレクトロニックが主流じゃった当時の流行に背を向けて、ゴスペルや民族音楽をモダンにアレンジし、しかも全曲ハープ・プレイをフューチャーした異色作じゃった。 この曲はアルバ厶のハイライトともいうべき作品じゃ! ハープを担当したのは、長らくイギリスのロックシーンにおいてセッション・ハーピストとして大活躍してきたマーク・フェルサム。


♪tune-20 メロウ・ダウン・イージー/ジェイソン・リッチ

 最後に、現代のロックシーンでもっとも爆発的なハープを聴かせる男を紹介しよう。 その名はジェイソン・リッチ。 「まるでリードギターを弾くようにハープを操るハーピスト」として、数多くの映像がネットにアップされており、その映像のほとんどに只今わしはぶっ飛び中! アルバムはまだ2枚しか発表しとらんようじゃが、デビューアルバムは自主制作盤で1万5千万も売れたらしい! そりゃもう、こんな凄いライブを見せたれたら誰もが買わずにおれんじゃろう! 年に300本のライブをこなす、いまだライブを活動の中心に据えておる生粋のブルースマンでありロックンローラーじゃ。
 この映像だけではテクニック至上主義のパワフルでクレイジーなハーピストじゃが、他の映像ではベーシックなブルーススピリットに根ざしたオリジナル・ホワイト・ブルースロックをかましておるのを確認できる! やっぱりブルース(的なロック)で〆てしまったが(笑)、まあコヤツは本物のモンスター・ハーピストであり、只今もっともわしのハートをがっちり掴んで離さない!
 ジェイソン君に対して一点だけ気になるのは、紹介した映像はいずれも2009年じゃが、近年の映像をチェックすると容姿が急速にオヤジ化しとること(笑) まだ40代半ばだし、早くメジャー化してヴィジュアルにも磨きをかけてくれ!なんならわしが、The-Kingのナッソーをプレゼントしてもええぞ!


 とりあえず今回は20曲で打ち切りとするが、候補は100曲ぐらいあったんでそのうちにVol.2と題して必ずご紹介するんでヨロシク!
 思い起こせば、ハープ(ハーモニカ)って、小学校低学年の頃に縦笛の次に習った楽器じゃなかったかのお。 もしあの頃、一風変わった先生がおってブルース・ハープの曲を聴かせてくれたりしたら、わしは親に押し付けられておったピアノを放り出して、「天才ハーモニカ少年」の道をまっしぐら、じゃったかのお(笑) いやいや、わしのガキの頃は「男の子がピアノを弾いている」っつうだけで周囲から奇異の目で見られておった時代じゃ。 ブルースハープなんて吹いておったら「悪魔の子供だ!」とか石を投げられていたかも!?
 おっと、「天才ハーモニカ少年」で思い出した。 スティービー・ワンダーをうっかり忘れておったわい。 まあ今回は“ロック寄り”なセレクトなんで、Vol.2の時には必ずスティービーのナンバーにご登場頂くとしよう。
 しっかし、ギターよりもハープのサウンドの方がウイスキーに合うなあ〜それもスコッチ系じゃなくてバーボン系じゃ。 久しくバーボンを口にしておらんから、これからソッコーで酒屋に行くとしよう。では、今宵はこれにて。 ゴキゲンヨウじゃ〜♪


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