NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.226



 オータム・ファッションへの衣替えの時期、諸君はThe-Kingの製品リストのチェックに忙しいと存ずる。 日本におらんわしの事なんざ頭の隅っこにもないじゃろうが、それでヨロシイですぞ(笑) しっかりとチェックしてオーダーをしてくれたまえ!
 一方このわしは、今月13日から東欧諸国、まずハンガリーへ行くぞ。 ハンガリーを起点として、今年いっぱいはその周辺諸国におる予定じゃ。 西欧諸国は、その昔イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、イタリア、ルクセンブルク、スイス、ギリシャを周遊したことがあるが、東欧は初めてなんで、多少緊張しとる!
 ガラにもなく事前情報や観光ポイントなんかを下調べしながら、初体験への緊張を自らほぐしておるんじゃが、そんな時に遠い、遠〜い記憶が蘇ってきた。 ロックンロールに夢中じゃっただけに、外国への興味の対象はアメリカとイギリスばっかりだったわしがヨーロッパ大陸の方を注目し始めたのは、酒でも食べ物でも女性でもなく(笑)、やはり音楽、ユーロロックの影響だったのじゃ。 そしてユーロロックへの興味そのものが、わしの「レコード・コレクター」としての情熱が爆発する最初の起爆剤となったのじゃ。

 今回は未知のエリアである東欧へのトリップを前に、日本の「ユーロ・ロック幕開け期・レコード販売事情」と、わしの関わり方なんかを備忘録風にまとめてみた。The-Kingのカスタマーは、ユーロ・ロックなんててんで興味ない方が多いと存ずるが、「人には意外な歴史あり」って事で、まあかる〜く読み流してみてくれたまえ! ほぉ、あっちの方にはそんなロックがあったんか、って思って頂ければ幸いじゃ。


70年代後半のユーロ・ロック/プログレ廉価盤シリーズの思い出〜七鉄のレコード・コレクションは、ユーロ・プログレから!


手当たり次第の買いまくりコレクター

わしが若かりし日にレコード・コレクターじゃったことは以前にも何度か書いたな。 それこそ破産寸前までやったもんじゃ。 んで、わしがどんなタイプのコレクターだったかというと、好きなロッカーの超レア盤ばかりを死にもの狂いで探したり、レコードやロッカーのタイプに沿ってある一定の路線に徹底しながら制覇するといった、いわゆるコレクターとして王道路線を突っ走っておったわけでもない。 ただただ、その時々に自分の勘にキタ!レコードを闇雲に集めまくっておっただけじゃ。 人づて、雑誌のチョイ記事だけで、聞いてもいないのに“何かを感じた”だけで買ったレコードは数知れずじゃった。

 しかも、ロック、ブルースはもちろんの事、クラシック、ジャズ、シャンソン、ラテン、映画音楽等など、ジャンルは多彩じゃったものの、初販盤とかオリジナル・ジャケットとかのこだわりも一切無し! 中古盤もレコード盤さえ悪くなければジャケットが少々破損しておっても気にせず買っておった。
 だから、1998年に一括売却を依頼した業者から買い取り金額の見積もりを出された時、膨大な枚数の割には拍子抜けするぐらい安い金額じゃった。 今でも覚えておるぞ。単価にして1枚11円弱! 約30年間の音楽雑誌のバックナンバーも含めて、わずか150,000円ぐらいにしかならんかった!
 振り返ると、黒人ブルースマン、エルヴィス、ジョン・レノン、ジム・モリスン(ドアーズ)らのフェイバリットに的を絞っておけば良かったな、とか思わないこともないが、その代わりに好きな音楽世界も広がって行ったし、様々な音楽ジャンルのフリークたちとも交流できたし、後悔はしておらん。

 さて、わしがコレクターとして目覚めたのは1977年。 その年、日本のロックファンにとって衝撃的?な事件が起こった。 それは日本フォノグラムというレコード会社が、「ロック・スーパー・コレクション」と題して、期間限定のレコード1枚1500円シリーズをスタートさせたのじゃ。
 当時、レコード1枚2500円じゃったんで、1500円という値段にはギョーテンした! 仮にタバコやビールが100円以下(当時タバコ1箱150円 ビール大瓶200円だったか?)になっても、あれほど狂喜せんかったじゃろうな!ラインナップなんざ、誰がいようが関係ない。 ひたすら1500円の価格設定にひれ伏してしまったのじゃ。
 

ロック・スーパー・コレクション1500

このシリーズは、確か3期に分かれて販売され、日本フォノグラム社が販売許可のある欧米ロック・アーティストたちの旧譜をタイプに関係なく販売したのじゃ。  詳しい資料がないんで正確ではないが、覚えておる限りラインナップは次の通り。

★第1期★

『青い影/プロコル・ハルム(※)』 『フォックス・トロット/ジェネシス』 『血まみれの安息日/ブラック・サバス』 『ラザマナス/ナザレス』 『ハロー!/ステイタス・クオー』『鋼の抱擁/ラッシュ』 『エブリー・ピクチャー』&『ガソリン・アレイ/ロッド・スチュワート』 『ピーター・ハミル/フールズ・メイト』

★第2期★

『精神交遊/ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター(※)』  『スリー・フレンズ /ジェントル・ジャイアント』 『太陽神ヒュペリオンの堕落 /ロバート・ジョン・ゴドフリー』 『侍祭の旅/スティーブ・ハケット』 『新ノア記/アンジュ』 『イッツ・ファイブ・オクロック/アフロディテス・チャイルド』 


★第3期★ 

『夜間飛行/ラッシュ』 『 オータム'67アンド・スプリング'68 /ナイス』 『@(アイ)/パトリック・モラーツ』 『哀愁の南十字星 /セバスチャン・ハーディ』 『アウトバーン/クラフトワーク ファースト』  『ジェントル・ジャイアント』 『トレース/鳥人王国』


 プログレ、ハードロック、ロックンロール、ユーロ・ロックと実に多彩な顔ぶれであり、わしは「1500円の衝撃」にとち狂ってしまい、上記(※)印の2枚以外を約1年間で全部買ってしまったのじゃ! 全て廉価盤であり、レコード店には初回納品分しか入荷されないから、それこそ回れるレコード店は虱潰しにあたって探しまくったのじゃ。 買い損ねてしまった『青い影』と『精神交遊』は名盤じゃったので、あっという間にレコード店各店から姿を消したに違いない! 
 しかしまあ、それまでレコード1枚につき2500円を身を削る思いで支払っておったのに、レコード店をあたりまくる交通費を考えれば、まさに安物買いの銭失いを地で行っておったのじゃ!


ヨーロピアン・ロック・コレクション1800

 「ロック・スーパー・コレクション」の1500円シリーズがいかほどの反響だったのかは不明じゃが、やがて他のレコード会社たちも続々と1500円、1800円シリーズを始めた! 今なら「もう勘弁してくれよお〜」と泣きが入るところじゃが、当地はバイトがメインの貧乏学生じゃったのに、「さあ、いらっしゃい! ぜ〜んぶ買ったるわい!」ってなもんじゃ。
 そしてわしにとってコレクター道を「決定的」にしたのが、1978年にキング・レコードが企画した「ヨーロピアン・ロック・コレクション・1800円シリーズ」じゃ。 何が“決定的”かは後ほど記するとして、ラインナップは次の通り。


★第1期★

『地中海の伝説/マウロ・パガーニ』 『ミラノ・カリブロ9/オザンナ』 『コンチェルト・グロッソI/ニュー・トロルス』『8月7日午後/ルチオ・バッティスティ』 『ヴィヴァ/デュッセルドルフ』 『ポーレン/パルサー』 『ロスト・マンカインド/サテン・ホエール』 『神経細胞/メッセージ』


★第2期★

『組曲「夢魔」/アトール』 『UT/ニュー・トロルス』 『パレポリ/オザンナ』 『パルシファル/イ・プー』 『1978/アレア』
『自由への扉/バンコ』 『マス・メディア・スターズ/アクア・フラジーレ』 『ローラー/ゴブリン』

 要するに全編イギリス以外のヨーロッパ諸国のプログレ・バンドばかり。 日本フォノグラムの「「ロック・スーパー・コレクション」に含まれておったユーロロック・バンドと併せて、わしは完全にユーロ・ロックにハマってしまったのじゃ!
 豊かなクラシック音楽的土壌の上に成立する、英米バンドでは出せない美旋律と完璧な組曲形式、まるで女性の脚線美の様な妖艶な物語性、楽器を慈しむように奏でる繊細なテクニックに、このロックンロール・バカのわしがノックアウトされてしもうたんじゃ。
 またジャケットも気高い芸術性を湛えた絵画性が横溢しており、少々はったり気味の英米ロックのジャケットよりもはるかに観賞価値があった。 当時ユーロロックの情報なんて日本では皆無だっただけに、充実したライナーノーツも読み応えがあり、一言一句むさぼるように読んだわい!

 アンジュ、アトールなんかはフランスのバンドじゃったんで、フランス語の堪能な姉貴に頼み込んで、ライナーに記載された歌詞を訳してもらったもんじゃ。 そこに描写されておった世界は、歌詞ではなく詩、散文詩であり、比喩や擬人法を駆使して言葉に重みを与えようとする英米ロッカーの歌詞とはベツモンじゃった。いわば日常生活を超越した精神世界が広がっており、姉貴殿の対訳を読みながら、自分が人生という濃い霧の世界に迷い込んで視界を失うような境地を味わったのを昨日の様に覚えておる。

 しかしあの時姉貴殿の対訳は、何故だか和紙の便箋に丁寧な鉛筆書きじゃった。 う〜ん、ユーロプログレの対訳を和紙に書くとは、なかなかユニークなセンスじゃ!?って、ただ単に適当な紙が無かったのかもしれんが、あの和紙の儚い雰囲気が未知なるユーロプログレの神秘性を盛り上げるにゃあ〜ピッタリじゃったな。
 今思い出したが、フランスのバンドは3つだけじゃったのに、姉貴が仕上げてくれた対訳はアルバム数枚分あったはずじゃ。 ドイツ語やイタリア語が出来る友達に頼んでくれていたのかもしれん。 普段は弟へのあたりがキツイ姉貴じゃったが(笑)、いいとこあるな〜なんて、感謝するのが遅すぎじゃな!
 この「ヨーロピアン・ロック・コレクション」は、80年代の中期に至り第10期ぐらいまで続いたはずじゃが、確か二〜三期ごとにお値段が1800→2000→2200と上がっていったのが残念じゃった(笑)
 

オススメ・ユーロ・ロック・ベスト3

 ではわしが70年代のユーロ・ロック廉価版で入手したアルバムの中からベスト3を紹介しておこう
■鳥人王国/トレース(オランダ)■

 モーツァルトやショパンの展開の早い美しい楽曲がお好きな方には自信を持っておススメする、ユーロ・プログレの超名盤。 全編オルガン、シンセ、ピアノによる“シンフォニック・ポップ・プログレ”の洪水であり、ロックのスピードとクラシックの組曲、旋律が奇跡的に融合しておる。 わしはトレースの作品は他に2枚を聴いたが、このアルバムがダントツの完成度じゃ!
 特にアナログB面全面の大組曲「鳥人王国」において繰り広げられる、あまりにもドラマチックでスリリングな展開は圧巻。 20分超の時間があまりにも短く感じられるほど、息をつく暇もないほどの完璧な構成力じゃ。 キーボードのリック・ヴァン・ダァー・リンデンのこの超絶テクニックの前では、さしものブリティッシュ・プログレの名キーボーディストたちも色あせてしまう。
 こんなスゴイ作品が僅か1500円で買えるなんて、幸せそのもの!ある意味で、わしは本作での感動を求め続けてユーロロックの廉価版を買い続けておったのかもしれな!

 70年代当時、オランダにはフォーカスという人気ギターバンドがおり、アメリカでもそこそこ売れておったものの、このアルバムが日本で入手可能になってからは、口コミでその凄さが伝わり、少なくともわしが知る限りのユーロ・ロック・ファンの間では評価も人気もフォーカスを凌駕しておった。
 因みにリックの速弾きがいきなり炸裂するオープニング曲「ブーレ」は、80年代の人気TV番組「プロ野球ニュース」の「今日のホームラン(と思う)」のBGMに使用されておった!

 
■地中海の伝説/マウロ・パガーニ(イタリア)■

 70年代はイタリアン・プログレの全盛時代。 当時のトップ・バンドであるプレミアータ・フォルネリーア・マルコーニ(通称PFM)のバイオリニストがマウロじゃ。 「プレミアータ・フォルなんたらかんたら」ってネームは、ロック史上でもっともわしが覚えるのに苦労したなが〜い名前じゃ、ってそんな事はいいとして(笑)、PFMは超絶技巧を真骨頂とする技術系バンドの頂点に立つ連中であり、オランダのフォーカスとともにタイムリーに日本でアルバムが発表されていた(『蘇る世界』『幻の映像』)数少ないバンドじゃった。
 正直なところPFMは、圧倒的な叙情美と高過ぎる技術力は日本のプログレファンの理解力、感性を超越しておったと思う。(聞きなれないイタリア語のせい?) しかしこのマウロのソロ・アルバムによって、多少はイタリアン・プログレの真髄ってもんに触れることか出来たはずじゃ。 これはきちんと音楽教育を受けた(もしくはそのDNAを持っておる)者にしか演奏することのできないバイオリン・プログレ。 クラシックの室内音楽的な情緒と超絶技巧のチラリズム、それにアフリカやアラブ地方の民族音楽の要素とが静かに交遊する傑作じゃ。 伝説的な超絶技巧バイオリニストのパガニーニやピアニストのフランツ・リストが活躍した19世紀のクラシック黄金狂時代の演奏から“狂気”だけを封印したような抑制美の極地!

 ただし、本作を理解するためのネックはバイオリン。 当時はプログレ・ファンでさえバイオリンのサウンドに馴染みが薄く、わしの周囲の反応もイマイチ。 わしもまだエラソーに講釈たれる事ができるほど知識が無かったんでちょっと寂しい思いをした。
 そこで 「バイオリンがダメならコッチを先に聞いてみたら?」とススメタのが、「ブリティッシュ・ロック1500」っつう別の1500円シリーズから発売されておった『ダリル・ウェイ&ウルフ (イギリス)』。 B面全てを使った大曲「悲しみのマクドナルド」は、哀愁の美旋律のみっつう凄いバイオリン・インスト!コッチはみんな絶賛じゃ。 それから『地中海の伝説』を聞き直したヤツもいたに違いない! おめーら、七鉄センセーへの感謝を忘れんなよ(笑)


■ワン・ナイター/イーラ・クレイグ(オーストリア)■

 本作は、日本フォノグラム社が79年(80年?)に企画販売した「ユーロ・ロック・スーパーコレクション1800円シリーズ」(前述の「ヨーロピアン〜とは別個)の中の1枚じゃったはずじゃ。 既にユーロ・ロックのマイブームがひと段落した頃じゃったが、オーストリアのバンドなんてそれまで入手不可能じゃったので、試しに買ってみて衝撃を受けた!
 これは東欧の夜のスピリチャルなエモーションを演劇的に完璧に仕上げてみせたロック風バロック組曲じゃ。 当時のNHK-FMでも紹介され、わしの周囲のプログレ好きの連中たちも驚愕しておった。
 ピンク・フロイドの様な「もったいぶり」、EL&Pの様な「強引さ」、クリムゾンの様な「説教臭さ」、ジェネシスの様な「風刺臭さ」、つまりプログレにつきまとう必要悪が一切ない、あまりにもナチュラルで壮麗なサウンド構成と美しい楽曲の展開は、全ての音楽ファンを魅了するに違いない!

 21世紀になってリマスター盤が出たっつうんで苦労して入手したほどわしは好きじゃが、最近のファンの反応はどうなんじゃろう?と気になってamazonのレビューをチェックしてみたら、一人の投稿者もいないってどーいうことじゃバカモノ! オーストリアはハンガリーの隣国でもあり、10〜11月ぐらいには訪れる予定なんで、必ず現地音楽ファンの声を聞いてみたい!


 日本のレコード会社の「廉価版大作戦」時代は、70年代の終わり頃になると、「イギリス・ロンドン・レコード設立20周年記念」とかの触れ込みでローリング・ストーンズの旧譜が10枚くらい一気に1500円で発売されよった。
 続いてキング・レコードの「ヨーロピアン・ロック・コレクション・1800円シリーズ」が発売第3〜4期を迎えた1980〜1年頃になると、確かポリドール・レコードがクリーム&エリック・クラプトン、ザ・フーらの旧譜のほとんどを1800円で発売。
 さらに多彩で大量な英米ロッカーの販売権を所有するワーナーパイオニア社が、2000円で70〜80種類ぐらいの旧譜の販売に踏み切った! ここら辺はユーロ・ロックと違って全てメジャー路線であり、わしの“歯っ欠け状態”じゃったロッカーのディスコグラフィー・コレクションをコンプリートにする(全部揃える事)絶好の機会となり、しかも平穏な生活を破壊するほど徹底的にのめりこんだバンド(ドアーズ、ベルベット・アンダーグラウンド等)と巡り合ってしまったこともあり、気がついてみたらユーロ・ロックのマイブーム自体が幕引き状態になっておった。

 しかしユーロ・ロックの廉価版シリーズによって、積極的に自らの時間とお金を費やして新しい音楽世界を追及する快感に加速度が付き、聞いたことのないロッカーのレコードを買い捲る習慣が出来上がっていったのじゃ。 と言ったら少々格好がつくが、レコード会社の安売りの販売戦略にまんまと引っかかってしまった!と言えなくもないな(苦笑)
 また今にして思えば、1977年から始まった日本のアナログ盤「安売り・廉価版戦略」は、CD時代が刻刻と近づいてきた中での、「塩化ビニール盤大量在庫消化大作戦」だったような気もする!? まさか数年後にCD時代に切り替わって、自分のコレクションが物品としては「過去の遺物」になるとはなあ〜。 とか考えると少々腹も立ってくるので追求は止めておこう(笑)

 金が入れば酒屋よりもまずレコード店に行き、一度に10枚くらいのレコードを買って、そいつを一週間ぐらいはぶっ通しで聞く! 同時にジャケットや、そこに記されたクレジットを隅々までチェックしながら、さらに未知の音へ思いを馳せる・・・幸せな時間を過ごしていたと思う。 レコード会社の戦略に乗せられた、なんて考えるのは無粋ってもんじゃな!
 かつてわしのレコード・コレクションの数を飛躍させ、その後のロックへの知識と感性の広がりに限りなく貢献してくれたユーロ・ロックに、約35年という時を経て、今ここであらためて感謝したい! そしてユーロ・ロックの現状ってもんを、この度の訪問の機会に、是非ともわしの目と耳で確認しておきたい次第じゃ。



酔眼雑記 〜ユーロ・ロック余波

 本編にてオススメのユーロ・ロックのアルバムを3枚挙げたさせてもろうたが、実はこの3枚には特別な個人的思い出があるんじゃ。 それは青春時代特有の“甘酸っぱさ”なんかではなくて、かなりの“小っ恥ずかしさ”を伴って!?

 恥を忍んで書くが、あれは大学4年生の時じゃったと思う。 わしと同じゼミに所属していた大酒のみの女友達がおって、クリスマス・イブ・イブ(12月23日)に、二人で飲みまくった。 彼女は大酒飲みの多い北陸地方出身者(北陸の方、ゴメンなちゃい!)で、実家は「酒処」! お袋さんは「酒処」を女手ひとつで切り盛りするやり手女将とか。 その血筋を正統的に継いでいた彼女が酒が滅茶苦茶強い事は知っておったものの、特別に仲が良かったわけでもなかった。 どうして年の瀬に二人だけで飲みに行ったのかは思い出せん。 多分、彼氏さんとの仲を相談されたのか、なんかだと思うが。
 まあそれはいいとして、その晩に事もあろうにわしだけがぶっ倒れてしまい、深夜の東京・お茶の水の道端で彼女に介抱されてしまったのじゃ。 その日以来、彼女は口をきいてくれなくなってしもうてな〜。 悩みぬいた末に上記の3枚のアルバムをせめてもの「お詫び」に差し上げたんじゃが、これが大正解じゃった!
 クラシック音楽の素養のあった彼女は一発で気に入ってくれて、わしの醜態を無かったことにしてくれたのじゃ! 数年後、彼女の豪勢な結婚式にも招待して頂き、スピーチまで頼まれたぐらいじゃから、3枚のアルバムの「名誉挽回・効果」は絶大だったのじゃ〜(笑)
 何故この3枚を選んだのか? それはわしの少年時代のお袋の教えが元じゃった。 「(プレゼントに)何をあげたらいいか分からない時は、相手の事をよく思い出して、その中から自分が一番好きな物をあげなさい」 分かるような、分からんような理屈じゃが、まあこの教えが功を奏したってわけじゃ。

 差し上げた3枚のアルバムは当然買い直す事になったんじゃが、既に名盤の評判が高くなっていたのか、いやあ〜国内盤がなかなか手に入らなかった! 特に「ワンナイター」は再入手に数年の歳月を要したもんじゃ。
 1998年にユーラシア放浪を決意して、レコード・コレクションを一括売却処分する前、一週間ぐらいかけて思い出の強いレコードをピックアップしながら、「やっぱりコレは残しておこう」なんてやっていたら200枚ぐらいを選んでしまった。 もちろんこの3枚は含まれており、買い直し品だし、名誉回復の件も絡んでおるし、思い入れは断然強かったわな。 でも結局は1枚残らず売却した。 「ええいっ! 新しい世界へ飛び出そうってのに、古い世界に固執していてどうするんじゃ!」ってもんじゃ!

 先日東欧旅行経験者から耳よりの情報を頂いた。 「あそこら辺は、どこに行ってもビールやワインが美味しくて安いよ。 ゲストハウスによっては、ワインを無料でふるまってくれる所もあるよ」とな!
 うわ〜はよー行きて〜となったが、すぐさま「名誉回復」の一件を思い出し、襟元を正したわい(笑) さて、現実にはどうなるか! まずは、再び諸君に紹介出来るようなステキなユーロ・ロック・サウンドを見つける事が第一じゃ!




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