来月上旬の一時帰国用のエアチケ予約も終わり、新しいアパートで作業に没頭、もとい美味しくタイビールをかっくらっておる七鉄であります。
　繁華街のど真ん中にあったゲストハウスから、住宅と空地ばっかりの郊外に引っ越してはじめて気が付いたが、タイ人のほとんどは外出時に未だマスクをしておる。スーパーや飲食店で働く人も、道行く人もみ～んなマスク姿。こんなんに出くわすと、コロナって本当に明けたんじゃろうかって不安になるが、日本はどんな感じですかいのお。まあ来月帰国したら目の当たりにするんじゃろうが、そんなもんを確かめるための帰国じゃないので、ボスをはじめとして旧友たちと楽しく飲める時間が待ち遠しいわい。

　帰国を控えて何となくソワソワしている今日この頃、タイのお隣の国ミャンマー在住の知人と約4年ぶりに再会した。ミャンマーはコロナ蔓延の頃と時をほぼ同じくして軍事クーデターが起きてダブル戒厳令状態となり、多くの外国人在住者たちが国外避難すら出来なくなった。知人もそのあおりを食い、この度クーデター勃発以来初の国外移動になったという。
　再会の宴は、お互いにコロナ期間中の半死状態報告会と化したが、わしの苦労なんて知人の苦労に比べれば“屁のツッパリ”にもなりゃしないって恐れ入った。軍事クーデターにより、一部の外資系銀行口座から現金が引き出せなくなり、知人はその被害を被ったという。しばらくして引出し可となっても引出し限度額が厳しく設定され、さらに街中のATM内に収納現金額が少なくて引出し限度額すら引き出せない。
　また軍事政権のエネルギー使用制限政策の為に“計画停電”が長らく続き、ろうそくの炎頼りの夕食が続いたそうじゃ。その間もちろんエアコンも使用不可。行く当てもない散歩でもして気を紛らそうにも、厳しい外出禁止令も敷かれている。たったひとつの救いは、不自由な生活に慣れているミャンマー人奥様の笑顔だけだったという。そんな悲惨なオハナシを笑顔で話されてしまうもんだから、その知人のご苦労、ご心労がより伝わってきたもんじゃ。

　ミャンマーはタイよりも遥かに和食店事情が悪いので、気を利かせたつもりでメニューの種類の多い居酒屋にご案内して注文をお任せしたが、知人のオーダーは、ホウレンソウのおひたし、冷ややっこ、きんぴらごぼう、枝豆、わかめときゅうりの酢の物といったお通しと変わらないような質素な品ばかり。メニューブックのお刺身／お寿司のページを見ながら「あっ、コレもいっちゃいましょう！」ってきたんで「刺身盛り」かと思いきや、オーダーは鉄火巻き。「こういうのが死ぬほど食べたかったんですよ～」って言う笑顔の横顔にグッときてしまった。
　知人はミャンマーの国営事業に携わっておるのでお金には不自由していないものの、使うことが許されない状況を耐え忍んでおったのじゃ。有っても使えなかった人間と、無いのに使いたがっていた人間が一緒に飯を食ってるっておかしなハナシじゃけどな(笑)

　知人のお蔭で、わしは数年前のミャンマー取材の折に苦手な「経済関連記事」を仕上げることが出来た御恩があるので、この宴のお勘定をもつことを申し出た。しかし知人は「何言っているんですか。こんな個人的な食事に付き合って頂いた私が～」って取り合って下さらなかった。なんか、以前にお会いした時よりも知人は、人間として俄然スケールアップしたようにお見受けした。
　とりあえず周囲の方のお蔭で何とかコロナを乗り切った（と思う）わしは、知人の何十分の一かでもスケールアップしたのじゃろうか？自分ではワカランので、帰国して再会予定のボスにでも査定してもらうかな！ではでは、次回は6年ぶりに日本からのご挨拶になりますんで、皆様どうか息災で！