8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.85
                                                                                                                                   
                       

             
2011年の箱入りセット

頑固箱鉄、もとへ、頑固8鉄です。こんちわー。
ね、箱、ですよ、箱。ボックス・セット。
七鉄先生も先日お書きになられていましたが、実は、2011年は、往年のポップやロックの古典の、100曲近くも入った高価なボックス・セットが次々とリリースされた年でありました。欧州人は商売うめえなー、とか言ってる場合じゃないのよねー、マニアはさあ。
わたくし、8鉄も、昔とった、きつねそばがのび過ぎちゃって、じゃない、キネヅカ、とやらで、すでにLPでバラバラに所持していたり、すでに持っているCD盤のベストなどと大幅にかぶったりしているにもかかわらず、ついつい魅力に勝てず、いくつか買ったのでした。装丁が綺麗だし、CDのリマスター音源は、シンプルに高音質だし。
結果、とても満足!満腹!おなか一杯!大正解!だったので、ちょいと戦利品自慢みたく紹介してみちゃいます。

オー、キャロル(ニール・セダカ)
OH CAROL-COMPLETE NEIL SEDAKA 1956-1966 (8CD BOX SET)
ドイツのベア・ファミリーがリリースした、ニール・セダカ全盛期の音源ボックス・セットで、1956年ニールがドゥーワップ・グループのトーケンズの一員として初めて録音した、「ホワイル・アイ・ドリーム」から1966年のRCAでの最後の録音である「プレイ・フォー・ラブ」まで、10年間、怒濤の220曲(!)が納められた8枚組。満腹〜!くるしー・・
「カレンダー・ガール」、「リトル・デビル」、「オー、キャロル」などなど、50年代後半から60年代前半にかけての代表的な大ヒットはもちろんすべて網羅されています。こういった有名曲は、廉価で手に入るベストでも聴けますが、そのB面であまり当たらなかった曲や、埋め草的なアルバム収録のみだった曲にも、いいものがたくさんあるのがニール・セダカ!
すごいボリュームでお腹いっぱいなうえ、えらく高額な商品なんですが、長年ファンなので、理想のセットを手に入れた、という感じで気に入っています。
実は、8枚組のうち、ほぼ半分くらいが、米国録音以外の、イタリア、オーストラリア、イスラエル、日本、ブラジル、メキシコ、ドイツ録音で、それぞれの国の言葉で歌われています。これは、RCAという会社の有名な戦略なひとつで、各国語で歌うアイドルをその国でメジャーデビューさせてしまう、というもの。これで大成功した初期の人が、ニールでありコニー・フランシスでありました。
当時は、「えれー日本語のうめえガイジンさんだこと!」「きっと日本のことが大好きなんだな!なかなか愛嬌のあるアンチャンでないかい。」「それじゃあ応援すべ!」なーんてノリで、受けちゃったりして。
唄っているご本人も、10か国語くらい、ペーラペラであーる!なあんて、ドン・ガバチョみたいな人、だったはずもなかろうが、器用なもので、日本語の歌もほぼ違和感なく聴ける。耳で音をとる天才なんだから、これくらい朝飯前のちゃんこ鍋3人前だったのかもしれません。こういった音源も網羅しているので、さすがボックスセット8枚組だけのことはあります。まあ、それにしても、ドイツのベア・ファミリーっつう会社は、どんな人たちが創ってるんだか知らんけども、仕事が異常に細かくマニアック!
単行本でもいけそうな、フルカラー、超デラックス108Pのブックレットにはレアで高画質な写真が満載です。(日本の小学校で、こどもたちやフランク永井と一緒にパン食い競争をしている写真あり。)
http://www.amazon.co.jp/Oh-Carol-Complete-Neil-Sedaka-1956-1966/dp/B0000C906I/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1329875250&sr=8-1


スーヴェニアーズ(コニー・フランシス)
SOUVENIRS-CONNIE FRANCIS (4CD BOX SET)
MGMから出た、コニー・フランシスのトップ100にはいったヒット曲をすべて網羅したベスト4枚組。28ページの凝った装丁のハードカバー・ブックレット式になっていて、見た感じはオシャレな写真集という体裁です。デザインが抜群で、持っているだけでも楽しい。(もちろん、音源も折り紙付き、ですけども。)
大ファンなので、すべての録音を聴いてみたい、という方には、ベア・ファミリーからボックスセットが2種類出ていますので、そちらがお勧めですが、もうちょっとコンパクトに、しかし、贅沢に(118曲!)ヒット曲をすべて聴いてみたい、という方にはこちらがお勧め。
やー、それにしてもたくさんあるなあ。どれくらいすごい活躍をした人かは、主観的な好き嫌いではなくて、売り上げだのヒットした曲数だののデータで出てきますが、この人も長きに渡ってたくさんのヒットを連発した人です。
しかも、Amazon.comなどのレヴューを見てると、歌だけでなく、容姿もセクシーで大好き!とおっしゃるアメリカの方も多いみたい。写真集もそんな方が狂喜乱舞するような、ノスタルジックで美しいものであります。
曲の内容は、「フーズ・ソーリー・ナウ」、「ボーイハント」(ホエアー・ザ・ボーイズ・アー)「ヴァケイション」「カラーに口紅」(リップスティック・オン・ユア・カラー)といった古典もすべて入っていますが、全体を通して見ると、かなりの数がバラード系で、有名なロックヒットと両方のスタイルがあります。そして、ロック歌手というより、稀代のバラード・シンガーだったことがわかる。ミュージカル系の曲も多いし。
また、こちらも、セダカと同じように、イタリア語、スペイン語、ドイツ語で歌われたものがたくさん含まれていますが、コニー自身がイタリア系で、本格的なカンツォーネ・シンガーでもある。やはり、「ロック歌手」とか「ポップ歌手」とか括られない、もっと、ワールドワイドなノンジャンルシンガーだったということではないだろうか、と改めて思います。しかも、どれもすごい歌唱力で、ときには編曲が陳腐なオーケストレイションだったりしますが、彼女の歌で圧倒して素晴らしいものになっている。「歌の底力」みたいなものを感じられるポップの古典です。
http://www.amazon.co.jp/Souvenirs-Connie-Francis/dp/B000002GEF/ref=sr_1_7?ie=UTF8&qid=1329875318&sr=8-7


シンプリイ・ダスティ(ダスティ・スプリングフィールド)
SIMPLY DUSTY (4CD BOX SET)

こちらは、イギリスで最も偉大な女性歌手と言われた、ダスティ・スプリングフィールドの4枚組ブックレット式ボックスセット。60年代に「この胸のときめきを」(ユー・ドント・ハブ・トゥ・セイ・ユー・ラブ・ミー)や「二人だけのデート」(アイ・オンリー・ウォント・トゥ・ビー・ウイズ・ユー)など、たくさんのヒットを出した大歌手です。これらの曲はカヴァー・ヴァージョンもすごい数なので、他の歌手で聴いたことがあるひとも多いはず。(エルビスとかベイシティローラーズとかね)
昨年も大変豪華なボックスセット(CD4枚DVD3枚セット)がリリースされましたが、こちらの「シンプリイ・ダスティ」は数年前に出たもので、どちらかというと、こちらのほうが一般的な内容になっています。どちらのセットにもヒット曲は網羅されていますが、昨年リリースのほうが、初公開ものが多くよりマニアックなんだそうです。持ってませんが。
ぱっと見た感じは、「今日もマスカラが決まってマスカラ!」とか言いそうな感じですが、これは60年代のロンドンでは大流行した髪型とメイクで、この人の影響も大きかったそうな。かっこいいです、ダスティさん。
一方、内容については、いまさらとやかく言うのも野暮な、全く文句のつけようがない傑作ばかり。本国ではビートルズに匹敵するソロ歌手のような存在です。「最も優れた白人ソウルシンガー」とも言われていました。
非常に素晴らしい歌手であるだけでなく、全体の編曲もすべて完璧(完璧主義者で有名な彼女自身が総て手がけている)なので、98曲あっても、全く飽きることなく聴き通すことが出来ます。フルカラーの写真集も素晴らしい出来映え。これもコニーボックスと同じく、ただ持ってるだけで幸せになれる、良い製品だと思います。

http://www.amazon.co.jp/Simply-Dusty-Springfield/dp/B00004XP5G/ref=sr_1_5?ie=UTF8&qid=1329875372&sr=8-5



イッツ・マイ・パーティ (レスリー・ゴーア)
IT'S MY PARTY (LESLEY GORE) ( 5CD BOX SET)

これまた、ドイツの熊さん一家、ベア・ファミリーから出た、60年代アイドル、レスリー・ゴーアのヒット曲大全。5枚組ボックスで、豪華ブックレット付き。
まあ、これはですね、結論から言うと、よほどのファンでないといらないかもしんない・・・って感じ。前のふたつが誰でも所持OK!とすると、これは、ヤバい、熱狂的ファン向けみたいなノリです。ま、だから私は買うわけですけども。ニールさんの箱といい、このレスリー箱といい、ベア・ファミリーの出す箱はヤバいですよー。なんで何度も同じ曲が出てくるんだ!とか怒っちゃあいけないのよ、テイク違いなんだからね。
さて、内容は、バリー&グリニッチやゴフィン&キングといったブリル・ビルディングのそうそうたるソングライターの手になる、60年代ポップの名曲がずらりと並んでいるわけです。ニールさんは自分がソングライターだったので、他のソングライターの名作が入っているわけではないのですが、こちらのレスリー・ゴーアはアイドル歌手だったもので、多くの作家の傑作が聴けるところが醍醐味です。
他のベスト盤なんかでは聴けない、B面曲だのアルバム埋め草曲だのにも、イケるものがたくさんあって、特にジャズ・スタンダードをちょっと舌足らずぎみに唄ったものなどは、ジャズ系のファンには知られていない宝物かもしれません。
http://www.amazon.co.jp/Its-My-Party-Lesley-Gore/dp/B0000282TL/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1329875421&sr=8-1

さて、もうひとつ、昨年は「フィル・スペクター・ボックス」がオールディーズ系の箱の目玉でありまして、こちらもしっかり買ったのですが、まだ、時間がなくて、ちゃんと聴けてません。また、改めて紹介するかもしれません。

しかし、なんだね、やっぱり箱といったら、箱入り娘!60年代の女性ボーカルものに一番魅力を感じますが、やはり、綺麗な写真集がついていたりするからでしょうか。男心をくすぐる素晴らしいボックス・セットがこれからもどんどん出て欲しいなー、あー、宝くじ当たらないかなー、買ってもいないけどー、とか思う箱鉄でございました。


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