8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.68
                                                                                                                    
      
レス・ポール&フレンズ 1988


 こんにちわさびづけ!魚は塩焼きに限る!
 塩辛親父、頑固8鉄です。
 こないだまで、太陽に行ってましたが、意外と涼しくてびっくりでした。きっと、まだ、「温暖化」が進んでないんじゃないかと思います。

 さて、くだらないヨタはこの辺にして、今日お送りするのは、以前にも取り上げた20世紀最大のギターヒーローといっていい、レス・ポール、1988年のコンサート。たくさんゲストが出てくる、いわゆる「〇〇さん&フレンズ」もののひとつですね。
 このとき、レス・ポールは76歳でしたが、もちろんバリバリの現役、実に多彩なゲスト(全員スーパースタークラス)が、いれかわりたちかわり登場し、心からレス・ポールの偉大な発明(エレクトリック・ソリッド・ギター、多重録音機など)と素晴らしいミュージシャンシップとテクニックがどれほど歴史的に重要だったか、感謝の念を持って参加した記念コンサートでした。
 残念ながら、DVD等は発売されていない模様。私は昔、とある方からVHSでいただいたものを持っているのですが、見返してみたら、これがNHKの特番放送の録画!NHKってすごかったんだなー、昔は・・・。今しらんけど。

 ポール先生は、全盛期と全然変わらない素晴らしいギターを聴かせてくれるのですが、途中途中のゲストとのやりとりや、解説が、ビング・クロスビーやフランク・シナトラといった、40年代くらいのハリウッドスターと同じような、エンタテイナーのノリで、コミカルなのが楽しい。まあ、ビングのバックバンドで有名になった人で、ハリウッドの人でもあるわけだから、当然といえば当然ですが。



 まずは、ご本人のボール先生、いつものように、自分の発明品であるギブソン・レス・ポール・モデル(レス・ポール・レコーディングモデル)を持って登場。
 のっけから飛ばしまくりの、名演!すさまじいギター・テクニックを披露してくれます。
 それにしても、エレクトリックギターというのは、素人にはわかりづらいくらい、怪しげにごちゃごちゃスイッチだのノブだのがくっついているドラエモンの道具っぽいものですが、ポール先生のギターにも、なにかあまり見たことのない黒い箱がついている。
 なんだろう?と思っていると、スイッチをいじりながら、「レスポールボライザアアア!」(大山のぶ代の声で)と、やおら使い方の説明を始めるドラエモン!じゃない、ポール先生!
 あんたはアキバの店員か?と思う間もなく、あれよあれよという間に、ひとりギター・オーケストラに!弾いたフレーズを再生しながら、次のフレーズを上に重ねていけるんです。それを繰り返していくと、どんどん多重録音のようにしていけるギター専用の多重録音機。
 現在でも一般的ではありませんが、今では一般的な、スタジオ用多重録音レコーダーの発明者でもある、レス・ポールの面白いヴァリエーションのひとつです。



 続いて、ゲスト、エディ・ヴァン・ヘイレンが登場。
ポール先生「レスポールボライザーの発明が1944年。今は1988年だね。」
ヴァン・ヘイレン「44年なんて、まだ、ぼくは生まれてないよ!」
ポール先生「ところで、結婚生活はどんなだい?ニヤニヤ」
ヴァン・ヘイレン「なんで急にそんな話やねん!(笑)」
ポール先生「じゃあ、1988年の音楽がどんなだか私に聴かせてくれるかい?」
ヴァン・ヘイレン「了解。だけどね、あなたがいなかったら今日の音楽なんてないよ。だって、多重録音機もエフェクターもないんだから!」(フェイザー、ファズといったギター・エフェクターもレス・ポールの発明品のひとつ。)

 なんだか、ほのぼのしたやりとりの後は、ヴァン・ヘイレンのスーパー・テクニック・ハードロック・ギターが炸裂!ポール先生も絡んだりして、もう、とてもジジイとは思えないロッカーぶりを発揮します。
 偉大な発明家とかなんとかゴタゴタ言う必要もなく、観ればわかりますが、マジでかっこいい!

 ついで、B・B・キングが登場。
ポール先生「彼は、なんつーか、その、でっかくて、もう、最高です。」
BB「なんやねん、そら(笑)」(B・Bは大男)
BB「われわれは別々の場で演奏してきたけど、やっと伝説に出会えた。」
演奏は、まさにB・B・キング・クラシックといっていい、「エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルーズ」。
 B・Bのお決まりお約束の、チョーキングフレーズ連続の直球技と、ジャンゴ・ラインハルト直系のポール先生お得意のトリッキーな変則ギター・プレイの対比が面白い。

 続いて、カーリイ・サイモンが登場。さらっといい歌を歌った後、ポール先生がふらりと再度登場。なんか変なヨタ話を始めます。

 私は、ある人の仲人をしたことがあってね。その人の5歳の息子が、パパ、今夜はどこ行くの?」って尋ねたんだ。「レス・ポールのコンサートにいくんだ。一緒に行くかい?」そしてその人は息子を連れてきたんだ。その息子に私が、「将来何になりたいんだい?」って尋ねたら、「レス・ポールさんみたいになりたい。」って言ったんだよ!みなさん、そのときの男の子、スティーヴ・ミラーです。

というわけで、結構いい話!うまい演出で、スティーブ・ミラーが登場。
「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」で渋い演奏を聴かせます。

 次は、リタ・クーリッジ。「アム・アイ・ブルー」。「アイム・ア・フール・トゥ・ケア」。ジャズ曲なので、レスの伴奏がひときわ素晴らしい。

そして、ここで、主人公のポール先生率いる、レス・ポール・トリオの登場です。



 これはジュディ・ガーランドと一緒にやった曲です、といって始まるのは、「オーヴァー・ザ・レインボウ」。いやー、さすが歩く歴史。虹の彼方に、ですよ、あーた!古典中の古典です。
 そして、続いてのナンバーが、ビング・クロスビーの「イッツ・ビーン・ア・ロング、ロングタイム」。有名になるきっかけになった、レス・ポール・トリオは、ビングのバックバンドとしてスタートしたのです。
「4人のインディアンしか客がいなくて、バーテンだけを聴き手にやったこともあったな・・」などと、ホンマかいな?な話があったりしますが、ツアーをしていれば、どんな有名スターでもそういうこともあるのかもしれません。
 それにしても、その抜群のセンス、綺麗な音色、見事なフレージング、完璧で非の打ち所がないギター・プレイはさすが世界一のギタリストのひとり!と思わず納得してしまいます。

 再びゲスト・コーナーとなり、ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが登場。
激しく脈打つような、見事なブルーズ・ギターを披露します。

 続いて、スタンリー・ジョーダン
 曲は、「ジョージア・オン・マイ・マインド」で、ポール先生とがっぷり組んでの見事なデュオ・ギターを聴かせてくれます。それにしても、ジョーダンはいつも見てもどうやって弾いているのかわからないテクニシャンぶり。世界の一流どころというのは、やはり、誰もすごいものです。

 そして、カントリー界の大御所、ウエイロン・ジェニングスがぶらりと登場。曲は、もちろん、カントリー・クラシックで、レス・ポール&メアリ・フォードでも大ヒットした「アイ・リアリー・ドント・ウォント・トゥ・ノウ」。(日本では、菅原洋一の日本語版「知りたくないの」のヒットで有名です。)

 最後のゲスト、トリは、ストレイ・キャッツが登場。
「世界の音楽を変えたレスに感謝します!」と吼えるブライアン摂津!じゃない、セッツアー!
 さあみんな出て来い!と、ストレイ・キャッツがゲスト全員をステージに呼び戻して、ロックの古典、ブルー・スエード・シューズを全員で演奏!
 もう、何がなんだかわからないカオス状態ですが、これほど豪華なステージというのもそうあるものではないでしょう。

 全員がステージでレス・ポールを囲み、見守る中、主人公のポール先生、世界のギター音楽史を塗り替えることになるほど衝撃を与えた伝説の名作、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」をかつてのレコードそのままに弾いてみせつつ、ステージは大団円を迎えるのでした。



 いやー、イエー、スゲー、ハゲー、あ、最後のは関係ない、しかし、見所満載のステージでありました。
 さてさて、THE KINGもわたくし頑固8鉄も、みなさまのおかげで、今年も無事年末を迎えることが出来ました!感謝感謝の一言であります。
 
では、また来年(つってもすぐだけど)お会いしましょう!

 ハッピー・バースデイ、ツーユうううう・・・・(関係ねえし・・・




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