8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.142


ロッキン"インストルメンタル"フィフティーズ

はてさて、みなさん、こんにちはしゆきおです!
違います、こんにちはってつです!
インストルメンタル・・・ソレは隠微な秘密の花園・・・な、わけではなくて、案外、有名な世界ですよね。
基本、楽器は歌の伴奏!!というのが、20世紀前半のトレンドでありまして、それは、現在も変わらず主流なわけでありますが、「器楽のみ」というのもあるわけです。インストルメンタル(器楽演奏のみ)、ま、よく略して、「インスト」っていいますけど、別になにかインストールするわけじゃないんですよ!
そんな与太は置いておいて、3億5千万年くらいまえの「クラシック音楽」の世界は、鬱陶しいほど「器楽のみ」でした。世界中の民俗音楽も楽器だけの演奏は多い。でも、20世紀にトーマス・エジソンおじさんの発明品、レコード盤で広がっていった大衆音楽、ポピュラー音楽、流行音楽では、楽器は歌の伴奏!!であった、というわけであります。
これを年代順にアメリカ合衆国に限っていいますと、まず、すぐに連想するのが、ジャズの世界。特に旧いニュー・オーリンズ・ジャズなどは、インストがほとんどです。20〜30年代くらいの話です。
次いで、40年代は、スイングオーケストラの時代で、器楽演奏がものすごく洗練されていった。ベニー・グッドマン、とか、グレン・ミラーとか、有名です。
一方で、同時期、非常に激しい、荒削りなものも生まれてきた。「白人の中産階級」に乗っ取られたジャズに、ソウルフルな黒人魂をぶつける、ダンス音楽!!
そう、リズム&ブルースが登場してくるわけですね!オーイエイ!ベイベエ!
20世紀前半の、あまりPA設備が充実していなかった時代は、ダンスホールで演奏される器楽演奏というのは、「音がでかい生楽器がたくさん、うじゃうじゃいる世界」だったわけでありまして、ビッグバンドジャズ、そして、R&Bでも、ビッグバンド・ジャンプといったホーンセクションががんがんうなるものが流行しました。バンドが一丸となって、ザックザクと切り刻むビートにのって、ホーンセクションが単純なリフであおりまくる、というのが常套手段。そのスター楽器は、なんといっても、サックス(特にテナー)でありました。このあたりは、以前にもここでライブレポを書いた、ビッグ・ジェイ・マクニーリ−が代表格です。
ビル・ヘイリーなんかは、こじんまりしたウエスタン・スイングバンドでしたが、このあたりをもじって、演奏をし出したんですね。電気楽器を混ぜ込んで、弦楽器でもガンガンでかい音を出すようにした。コメッツは、エレクトリック・ギターとスチール・ギターを使いました。オモシロイことに、コメッツが花形のサックスをメインにしたのは、55年に、最初のロックスターになってからなんですよね。それまでのメインはスチール・ギターでした。
50年代半ば、コメッツは、かなり大きなインストルメンタル・ヒットを出しています。(ルディーズ・ロック、グーフィン・アラウンドなど)たぶん、このあたりが、50年代ロック・インストルメンタル(ポップ・チャート)の大ヒットの最初だろうと思います。
50年代ロックのインストの最も有名な曲10曲を紹介するアメリカのサイトを見つけたのですが、これが、納得の選曲で、疑問の余地もほとんどないので、紹介しますね。ま、10曲全部ではなく、自分がよく知ってるやつだけに絞ります。
1 サント&ジョニー「スリープ・ウォーク」

どうです?ロッキンなみなさん?なにか異議ありますか?ないですよね?
無頼漢・摂津、もとへ、ブライアン・セッツアーもやっている、「例のアレ」ですよね。摂津くんは、これをグレッチ・ギターに付いてるビグスビー・アームを駆使してマジカルな音を出していますが、これ、激しいロックダンス音楽、では全然なくて、とても優しいドリーミーな曲。チークタイム向けです。でも、とても50年代らしさにあふれている。器楽演奏(ギターとスチール・ギターの演奏)としては、同年代のスピーディ・ウエストとジミー・ブライアントのコンビのほうが有名だし、バカテクですが、やはり、世間一般にヒットする、となると、シンプルなほうなんですよね。この曲も、それほど難解なものではなく、ああ、これはわかりやすくて綺麗だなー、と隣のタバコ屋のばあちゃんでもわかると思います。
もろに、ハワイアンの影響を受けた演奏ですが、サント&ジョニーはニューヨークの出身。実はこれ、59年のゴールド・ディスクですから、50年代最後のインスト・ヒットなんですね。とても綺麗な曲自体はオリジナルですが、コード進行は、「ソフトリイ、アズ・イン・ザ・モーニング・サンライズ」という1929年の旧い曲のパクリです。そう思ってきくと、いかにも、20年代あたりっぽいメロディの曲だと思います。
2 ビル・ドゲット「ホンキー・トンク」

出ました!ホンキー・トンクって、本当は、古い時代の黒人用の飲み屋バーで、そういう場で演奏された旧い時代の黒人ピアノ音楽を指すのですが、この曲が有名になりすぎたせいで、「ホンキー・トンク」っていうと、この曲の有名なリフを思い浮かべる人も多し。ドゲットは、別にロックをやろう!とか思っていた人ではなくて、40年代ジャンプジャイブの代表選手、ルイ・ジョーダンのバンドのオルガン奏者だった人。ジャズ畑の人なんですね。そういえば、私の友達に、本木徳子っていう女の子がいましたけどね。嘘だろ?って?ええ、嘘ですけど、それが何か?

3 デュアン・エディ「レベル・ラウザー」

これは、こないだ、ご紹介したとおりです。ま、一言付け加えるなら、「革命」ですよね。たいしたことしてないじゃないか、っていうのは、21世紀の現在聴くからで、当時は、こんなエフェクタなかったんですよ。器楽演奏の真の革命というのは、小難しい理屈やテクニックではなくて、「なかった音色そのものを作ってしまう」ことなんですよね。ジャズ・サックスのコールマン・ホーキンズがなぜ、「ジャズ・サックスの父」なのかと言えば、それは、アドルフ・サックス(サックスの発明者)が発明当初に想定していなかった音色で見事な演奏をし、それが世界中に広まったからであります。ギターの世界でそういうことをした人は、レス・ポールという偉人がおりますが、エディにも同じことが言えるんですね。そういえば、私の中学の友人に、出庵英治って言うやつがいて・・・嘘??ええ、もちろん!!何か?

4 リンク・レイ「ランブル」

こちらもまた、だいぶ以前ですが、ご紹介しました。ハードロック・ギターの父、です。レイは、間違いなく、10年先を行っていた天才です。後のブリティッシュ・ロックへの影響も巨大です。ディストーション・ギターの先駆者というだけでなく、パワーコード(ハードロックで多様されるコードの押さえ方)を創作しただけでも天才ぶりがわかります。後の60年代以降のハードロックはぜんぶレイのコピーだ、といってもいいかと思います。
そういえば、私の高校時代の友人に、林来レイって女の子が(以下略

5 チャンプス「テキーラ」

知ってるでしょ?これ?ちゃんちゃんちゃんー♪ちゃんちゃちゃちゃちゃちゃ♪たたたたたったた!!「テキーラ!!!」ていう。あと説明なんかいらないよね?
ちなみに、チャンプスは、カリフォルニアのチカーノ(今で言うヒスパニック系)コミュニティの中から出てきたバンドで、この曲を書いたサックスのダニー・フローレスは、「ゴッドファーザー・オブ・ラティノ・ロック」と言われた大物です。

6 ジョニー&ザ・ハリケーンズ「レッド・リバー・ロック」

これまた有名な曲で、もともとは19世紀の曲ですからね。作者不詳のカウボーイ伝承歌「レッド・リバー・ヴァレイ」(赤い河の谷間に)のオルガン・インストもの。当時のいかにも、「ゴーゴー」っていうノリのロックビートに乗せて、あれよあれよと大ヒット。ずいぶんシンプルなアイデアですが、そういう時代だったのですね。
そういえば、私の友人に(以下略

ま、ショノー、こんなとこかな?あとはめんどくせえから、これでおしまいっ!!
じゃあ、またね!バイビー!チャオ!アディオース!!



GO TO HOME