8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.109
                                                                                       
              
                アコーディオンのお話
みなさんこんばんワンッ!頑固犬鉄です。

さて、わたくし、実は、アコーディオンを弾くのが趣味なんですよ。

以前、このコーナーにも、アコーディオンに関する思い出話として、「渡辺あつし楽器店」というコラムを書いたこともありますが、かれこれ、25年くらいやっているんですよ。その割には、さっぱり上達しないどころか、50を超すと物忘れが出てきて、かえって下手になっている気がするこのごろ。

まあ、蛇腹の押し引きって結構腕力が必要なので、いい筋トレにはなりますが。ええ、そうそう、昔流行ったトレーニング用の「エキスパンダー」みたい。

ジジイになってもラケンロールだぜ!いえー!とか言ってたいもんですが、なんせ、ヘルニアがあって腰は痛いは、目はかすむわ、老眼だわ、胃もたれがひどい「あたしゃ」さんといい、わたくしといい、THE KINGはヨボヨボのジジイの集まりか・・と思われちゃいそうなくらいあちこち不具合が・・・・あ、話がそれすぎた。

え?なに?歴史?そーかー、歴史について知りたいのかあ。と強引に引っ張っておいてと、では、以下ウイキペディアの丸写しを・・・というのもなんなんで、わたしなりにちょいとまとめます。

「日本では小学校などの一般的な音楽教育の現場でも採用されており馴染みは深い。小学校などで用いられているのは、左手のボタンが無い簡略化した(ベースレス)ピアノ式アコーディオンである。」(ウイキペディア)とされているように、普通、日本でアコーディオンといって思い浮かべるのは、これですよね。



プロが使っているのも、日本では、ほとんどが「ピアノ式」で、左手側に、「ストラデラ・ベース・システム」と呼ばれるボタンがたくさん並んでいます。飾りじゃないんですよ、めちゃくちゃいっぱいついてるけど、これ全部ボタンで、ちゃんと弾くんですよ。ベースボタンとコードボタンがあって、左手でその2つの役目をする。右手(鍵盤側)でメロディーを弾くのが普通です。

ただし! それは日本だけのこと。

外国に行くと全然違います。日本以外に、ピアノ式がここまで独占的に普及している国はありません。

さて、歴史をかいつまんで言うと、

「最初のフリーリード楽器は中国の笙であるが、これは息で空気を送り込むようになっている。この笙のようなフリーリードによる発声の仕組みを、18世紀にヨーロッパからの旅行者が中国から持ち帰ったものと思われる。最初のアコーディオンは1822年にドイツのフリードリッヒ・ブッシュマン(Friedrich Buschmann)によって発明され、「ハンド・エリオーネ」と呼ばれた。近代的な10ボタンアコーディオンは1829年にオーストリアのシリル・デミアン(Cyrillus Damian)が考案したもので、全音階(メジャースケールの7音)を持ち、単一のキーのみで演奏された。「アコーディオン」とはこのデミアンによる命名であり、「和音」を意味する「accord」に「器」を意味するギリシャ語の接尾語を組み合わせたものである。これらのアコーディオンは現在も演奏されており、ケージャン・アコーディオン(Cajun accordions)、メロディオン(melodeons)、ワン・ロウ(one-row)、ダイアトニック・アコーディオン(diatonic accordions)など多くの呼び方がある。」(ウイキペディア)

となっています。最古のアコーディオンはボタン式、しかも、蛇腹を押した時と弾いた時で違う音が出る方式だったことがわかります。実は、日本でも、明治から戦前までは、結構普及した楽器で、「手風琴(アツコルジヲン)」と呼ばれていました。明治・大正期の日本でアコーディオンと言えば、おおむね、このような小型のダイアトニック・アコーディオンを指したんだそうで、戦前生まれのわたしの母も、小学校時代、村の楽団で弾いていたと言っています。

ダイアトニック(diatonic)というのは「全音階」の意味で、演奏出来るキーが限られます。(ピアノの黒鍵にあたる半音は基本的に出せない)。蛇腹を伸ばすときと縮めるときで違う音がでる「押引異音式」になっているので、ピアノ・アコーディオンなどに比べると構造が単純で軽量。特定のキーでしか演奏が出来ないので、左手もそれに見合うように少なくてすみますから、ピアノ式のように、ずらーっと120個もボタンが並んでいたりはしない。最も右手のボタンが多い3ロウ(3列)タイプのものでも、左手側は12個似すぎません。

私が弾いているのは、これです。



その前に参考までに、他の種類のアコーディオン属を紹介しときます。(出典:ウィキペディア抜粋)

クロマティック・アコーディオン:

全音階でしか演奏できないダイアトニック・アコーディオンを改良したもので、ピアノなどと同様に半音階の音も出すことができる。ダイアトニック・アコーディオンが押引異音であるのに対し、クロマティック・アコーディオンは押引同音になっている。1850年ごろにウイーンのフランツ・ワルターによって作られた。



コンサーティーナ:

イギリスの物理学者、チャールズ・ホイートストンが考案したアコーディオンの一種。1833年にデミアンのアコーディオンとは独立に作られた。重量は2キログラム程度とアコーディオンの中でも小型で、六角形の蛇腹をもつ。



バンドネオン:

ボタン型で、これが蛇腹を挟んで両側についている。アコーディオンが1820年代に発明され、改良して作られたアコーディオンの一種であるコンツェルティーナ(の影響を受けて、1840年代、ドイツのハインリッヒ・バンドが1847年に考案した。



で、これらのアコーディオンって、その地域地域の音楽によって、使われる種類が決まる、ってくらい、世界中で使われています。

ピアノ式はクラシックのオーケストラから横森先生まで、あらゆるところで使われてますが、アコーディオンが盛んなヨーロッパではどちらかというと、マイナーです。

フランスのミュゼット音楽ややオランダ、ポルカの盛んなドイツなどでは、中心は、ダイアトニックかクロマティックのボタン式。イギリスやアイルランドでは、ほとんどの民俗音楽系がダイアトニック式です。また、ロシアには古くから「バヤン」という特有のアコーディオンがありますが、これは現在はほぼクロマティック・ボタン・アコーディオンとほぼ同じようなものといっていいようです。

イギリスやアイルランド(参考:Marton Ellison "GIRL IN CLOVER"





コンサーティーナもヨーロッパが中心ですね。

アメリカ方面に行くと、最もアコーディオンが盛んなのが、テキサス州とメキシコ(ヌエボラレド州)の国境音楽である「テックス・メックス(テハーノ)音楽」の世界。

「テックス・メックス(テハーノ)音楽」(参考:Tony De La Rosa"ATOTONILCO"



メキシコから移民したヒスパニック系の人たちの音楽として発展してきました。

使われるアコーディオンはほぼすべて、ダイアトニックボタン式です。

国境を挟んだメキシコ側でも同じように盛んです。わたしがやっている音楽は、主にこれなので、ダイアトニックを使っているわけ。



また、ルイジアナでは、また別の種類のアコーディオン音楽、ケイジャンもしくはザディコが今でも盛んに演奏されています。(こちらはフランス系起源)

ケイジャンもしくはザディコ(参考:Clifton Chenier"CLIFTON'S SQUEEZE-BOX BOOGIE)






お隣の南米、コロンビアでは、バジェナートという音楽が盛んですが、これもアコーディオンが中心。ここもダイアトニック式。



さらに、ずっと南に行き、南米の南端に行くと有名なのが、アルゼンチン・タンゴの世界であることはみなさんもご存じのとおりです。もちろん、使われるのは、バンドネオン。これもメインはダイアトニックで、全般的にみると、押し引き異音のダイアトニックが世界的には主流に近いことがわかります。

アルゼンチン・タンゴ(参考:Frederic Langlais "Adios Zuchachos-La Paloma")



アコーディオンは、ギターやピアノと並んで、万能楽器のひとつ。万能楽器ってのは、和音とメロディが同時に出せて、リズムも出せて、自分で自分の歌の伴奏も出来る楽器って意味です。オルガンやピアノだと持ち運びが出来ませんが、アコーディオンなら出来る。どんなキイでも、どんな音楽でも演奏可能なクロマチック・ボタン式やピアノ式だとかなり重く大型になるので、ギターのほうがはるかに便利ですが、ダイアトニック式だと最も大きいモデルでも4キロくらいしかないので、かなり便利に使えます。生ギターはかなり音量がないため、アンプでもないと、ベースノートとメロディとコードを同時に奏でるような演奏方法をとると室内向き。

その点、アコーディオンは、音が大きくはっきりしているので、なんにもない野原でも、平気で大音量の演奏が出来るあたり、かなりな万能選手ではないかと思います。

最近は、電気だか電子だかデジタルだか、いろいろ普及していて、必殺の最新兵器みたいな楽器もあるのかもしれませんが、なにしろ、わたくし、古い人間なもので、完全アナログ、人力で動くアコーディオンに大変惹かれてウン十年というわけであります。

さて、そんなアコーディオン、日本ではほとんど、おじいちゃんの楽器、子どもの楽器、というイメージがあるような気がします。

しかし、ところ変われば変わるもの。

メキシコですけど、コッテコテ!ボインのねんちゃんが踊ってるし、アコーディオン奏者なんかモテモテ!

お隣のコロンビアのバジェナート音楽なんかもっとすごい!コッテコテのギッタギタ!

バジェナート音楽(参考:VALLENATOS ROMANTICOS MIX 2011 escogidas by SamboDj74)



アコーディオン=エロい楽器、くらいなもんですよ。どうだ、参ったか。

最近はアメリカテキサスの、テックスメックスでも、面白い若いグループが出てきていて、女の子ばかりのアイドルグループまでいるのです!(tube、どこだったかわからなくなってしまいました!肝心要のところで!)

というわけで、アコーディオンは世界的にみれば、まだまだ現役、どころかごくごく一般的に使われていて、国によっては、最先端だったりするんですよね。

古い伝統を持ちながらも、現代にアレンジされて、人を惹きつけるモノという意味では、THE KINGの服も同じ!これからもよろしく!


では、また、バイビー!


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